クレーマー・不当要求への対応

企業が経済活動を行なっていく上でありがたいお客様の中には 無理難題を執拗にふっかけるクレーマーというありがたくない人々が稀にいます。   企業の多くは、彼らからの攻撃に対し、お客様である以上、 顧客主義の考え方の元、「それはおかしい」と思っても、強くは言い返せずにいます。   しかしながら、クレーマーの多くは、その企業の顧客主義につけ込んでくるため、 顧客主義で対応すれば長期化することは避けられません。 クレーマー対応が長期化すれば、企業の担当者の精神的疲弊や能力低下等は避けられません。 したがって、顧客とクレーマーは峻別して対応すべきです。   クレーマーの対応に困った場合は、弁護士に相談の上、 クレーマーの性質に応じた的確な対処をしてもらうべきです。 当事務所では「消費者トラブル・クレーマー問題」についても取り扱っています。   私のこれまでのクレーマー対応の経験から、クレーマーを 「自己満足型」「不当利益目的型」の2タイプに分けて考えています。   さらに「自己満足型」は 独善的な思い込み・ロジック・価値観に固執し、執拗にクレーム・不当要求を繰り返す「性格的問題クレーマー」と 言動から精神的に問題があることが窺われる「精神的問題クレーマー」に、   「不当利益目的型」は 比較的安価な賠償金を求める「常習的悪質クレーマー」と 経済活動・社会活動を装い、企業恐喝や取引を強要する「反社会的悪質クレーマー」の それぞれ2パターンがあります。   ここでは、クレームについての解説と それぞれのクレーマーのタイプに応じた対応方法をご紹介します。

1.「正当なクレーム」「不当なクレーム」の的確な判断

そもそも、クレームには「正当なクレーム」と「不当なクレーム」があり、 「正当なクレーム」とは、顧客対応を継続すべきクレームのことを言い、 「不当なクレーム」とは、顧客対応を終了し、法的対応に切り替えるべきクレームのことを言います。   法的対応に切り替えるべきクレーマーとは、 「企業側が丁寧な説明・説得を繰り返しているにもかかわらず、企業や担当者に対し、 理不尽な要求や業務妨害的行為を止めようとしない者」と定義出来ると思います。 ここで重要なのは、「企業側が丁寧な説明・説得を繰り返しているにもかかわらず」という点です。   「正当なクレーム」「不当なクレーム」の判断についても、顧問弁護士に是非相談してください。

①「正当なクレーム」への対応

「正当なクレーム」は、企業側が顧客に対し、丁寧な説明説得を繰り返せば、収まることが多いです。 ところが、クレームに合致していない、型にはまった対応をしてしまうとクレームを的確に処理することが出来ません。   早期にクレームを収めるためにも、弁護士に、当該クレームに関する、 的確な事実認定と企業としての適切な対応の中身を相談してください。

②不当なクレームへの対応

適切な初期対応を行っているにも関わらず、堂々巡りの交渉が繰り返されている場合には、 不当なクレーマーということになりますので、本格的に弁護士に任せるべきです。   交渉が堂々巡りになる原因としては、 ・前提となる事実認識の誤り ・不当要求に結びつく論理に飛躍 ・極端に偏った価値観 といった原因が挙げられます。   また、クレーマーの特質として執拗性、すなわち簡単に要求を断念しないということが挙げられます。 故に、企業はクレーマーの対応に手を焼き、長期化させてしまうのです。   このような場合には、クレーマーに対しては顧客対応ではなく、法的対応すなわち 「クレーマーの言動を率直に業務に支障を与えるものと客観的に評価し、交渉を打ち切る」という決断も必要です。   そして、この交渉の打切りを、弁護士が介入するタイミングにすべきです。 弁護士が介入することで早期の解決が可能となるケースは多いため、 是非クレーマー対応は弁護士にお任せください。   なお、クレーマーとの交渉経過は、必ず記録として残しておくようにしてください。 クレーマーが、要求の中で、個人情報を削除するよう求めてくることがありますが、 今後のため、クレーマーとのやり取りの記録(クレーマーとのメール等)は残しておくようにしてください。

2.法律のプロとしてのタイプ別のクレーマー対応

これまでの実務経験から、クレーマーは大きく2つ、さらにそれぞれ2つのパターンに分けて考えています。 タイプによって、クレーマーの特質(真の目的・攻撃性)が異なるので、 各クレーマーの特質をふまえた対応をする必要があります。

①自己満足型クレーマー

自己満足型クレーマーとは、不当な要求をすることで、精神的な自己満足を得ようとするクレーマーのことです。 自己満足型クレーマーは、どういった精神的自己満足を得ようとしているかによってさらに2つの類型に分けられます。  

(1) 性格的問題クレーマー

性格的問題クレーマーとは、自己の有能感の確認のために、 企業や担当者に対しクレームを繰り返すクレーマーのことです。 このタイプのクレーマーは、企業やその担当者は、自分の要求にはすべて応えるべきだと思っており、 無理・不当な要求でも当然のことのように執拗に要求してきます。 さらに、自己の不当な要求について良心の呵責はなく、また、自己の不当な行為についても謝罪がありません。   彼らの真の目的は自分の精神的満足にあるため(自己の有能感を満たすため)、合理的な説明・説得には応じません。 そこで、このタイプのクレーマーの対応の基本としては、不当な要求は丁寧な言葉を使い、拒絶します。 平行線で終わることを念頭に自社の説明を繰り返し、堂々巡りとなった時点で、以後の交渉を打ち切ります。   さらなる交渉要求に対しては、書面で最終回答をします。 それでも交渉要求や業務妨害的な行為があった場合は、要求拒絶・窓口弁護士移管の文書を郵送します。 ほとんどの場合、この文書の送付でクレームは収束します。   ごく稀に、弁護士からクレーマーに電話してほしい、と企業の担当者からお願いされることがありますが、 自己満足型のクレーマーに対して、書面を送ることなく、弁護士から電話をかけるのはNGです。   なぜなら、弁護士が企業の代理人としてクレーマーに電話をかけると、 クレーマーは、その弁護士を企業の担当者の延長ととらえ、結局何も変わらないからです。 書面で最終回答をし、さらなる交渉要求や業務妨害的な行為があった場合は、 要求拒絶・窓口弁護士移管の文書を郵送することで、「交渉のステージが変わった」と クレーマーに認識させることが必要なのです。  

⑵ 精神的問題クレーマー

精神的な原因からクレーマーとなってしまう人の特徴として、愚痴とも苦情ともつかない内容で 頻繁に長時間電話をして、なかなか電話を切らせようとしないということが挙げられます。 また、時折、興奮して意味不明なことを口走ったりもします。   彼らの真の目的は、自分の心の欠損を担当者とのやりとりで埋めることにあるので、 このタイプのクレーマーの対応の基本としては、意味不明の言動があったら、 型どおりの接客を心がけ、できるだけ、関係・接触を持たない方向へ持っていくことが大切です。 型どおりの接客とは、本題の苦情そのものに対する対応という意味です。 このタイプのクレーマーは、元々の本題であった苦情からどんどん話が広がっていくため、 全ての話に付き合っていると、収集がつかなくなってしまうのです。   電話やメールが異常な数になっているようであれば、偽計業務妨害罪や、 電話やメールの内容によっては、脅迫罪での刑事告訴も検討すべきです。

②不当利益目的型クレーマー

不当利益目的型クレーマーとは、不当要求によって利益を得ること、それ自体を目的とするクレーマーのことです。 不当利益目的型クレーマーも、不当要求をする者の立場に応じて、さらに2つの類型に分けられます。  

⑴ 常習的悪質クレーマー

常習的悪質クレーマーとは、虚偽の事実を仮装して比較的少額の金銭を取得することを目的とするクレーマーのことです。 常習的悪質クレーマーの特徴としては、要求は執拗ではありますが、攻撃性は少ないことが多いです。   その多くが一般人である(反社会的勢力であるということはない)ため、 要求を拒絶しても企業に打撃を与えるような攻撃に出てくる可能性は低いと言えます。 一方、安易に金銭を渡すと、高い確率で再び訪れます。この種の人物は企業や担当者が自分のことを 「厄介な人物、面倒な人物で対応するよりも少額の金銭を支払えば解決できる」と思ってくれることを狙っているのです。   そこで、このタイプのクレーマーの対応の基本としては、 クレームの事実関係を丁寧に、具体的に質問することがまず大事になります。 すなわち、5W1H(いつ・どこで・だれが・何を・なぜ・どのように)の事実確認を行い、事実を確定させます。   その確定した事実を元に、企業として適正な内容であれば示談をしますが、 当該クレーマーの要求が、不当要求であると判断すれば、安易に応じてはいけません。 前述のように、常習的悪質クレーマーは、企業に対し、同じような要求を別の事実を元に繰り返してくるからです。   企業が、不当要求を拒絶した場合、常習的悪質クレーマーは、 前例(「前に、◯◯さんは素直に応じてくれた」)や 同業他社(「よその会社は、対応してくれた」)の対応を示すことが多いですが、 その手の話には乗らずに、当該事案に話を戻します。   常習的悪質クレーマーがどうしても引き下がらない場合は、書面での回答に持ち込みます。 書面の内容としては、企業としての見解を文書にして相手方に送付して、 今後の交渉窓口を弁護士に移管する、という内容の通知です。   このような書面を出した場合、多くが、クレーマーから弁護士に電話がかかってきます。 その内容としては、「被害者の言うことを信じないんですか。被害者は泣き寝入りですか。」といったものです。   それに対して、弁護士として、企業としての判断に至った理由と、 「あなたのおっしゃる事実は、裁判でも事実とは認定されないでしょう。」とバシッと伝えます。 その上で、企業として応じられる内容の示談に持ち込んだ上で、 必ず示談書(単なる領収証ではダメです)を取り交わします。  

(2) 反社会的悪質クレーマー

反社会的悪質クレーマーとは、社会正義、公共的活動を装って、 巨額の金銭や取引に名を借りた定期的な利益供与を取得することを目的とするクレーマーのことです。   下調べをしてターゲットを絞り込んできており、 要求を拒絶した場合の報復(街宣や 月刊誌のスキャンダル記事掲載)を前もって用意してきた上で、 企業に対し不当要求を行なってきます   不当要求に屈することは、企業イメージ・信用に極めて重大な損害を与える企業不祥事となります。 そこで、万が一、反社会的悪質クレーマーから不当要求を受けた場合には、必ず早期に弁護士を介入させてください。   交渉後、直ちに不当要求に対して警告の内容証明郵便を出し、街宣などの攻撃に対しては、 素早い仮処分の申立、刑事告訴で対応すべきです。 彼らが狙うのは企業との「秘密の共有」であり、弁護士を介入させることで、 この目的を早期に挫折させることが出来ます。 これが反社会的悪質クレーマーに対する対応の最大のポイントとなります。

3 弁護士によるクレーマー排撃方法

①内容証明郵便

クレーマー排撃のために、弁護士が企業の代理人として 書面を相手方に送付する場合には、配達証明付き内容証明を出します。   内容証明には、事実関係すなわち相手方の企業に対する要求内容及び 企業としての調査結果報告、検討結果の結論を丁寧に記載した上で、 それに対する異議や意見を含む今後の交渉の窓口は弁護士にするように要請する内容を記載します。   内容証明の送付で、ほとんどのクレーマーを撃退出来ます。 仮に、相手から電話がかかってきたとしても、企業としての明確な結論が書かれた書面を送付した以上、 その結論の変更を求めるには、裁判所での法的手続に訴えるか、相手方が譲歩するしかないのです。   ただし、これは、的確な 事実関係を把握した上で、企業側が丁寧な説明・説得を繰り返した、ということが前提です。

②仮処分手続

強迫や威嚇力の行使や、執拗な不当要求行為をやめさせるために、 架電禁止・面談禁止の仮処分という命令を出してもらうよう裁判所に申し立てたり、 反社会的悪質クレーマーが街宣活動をしてくるような場合にも、街宣禁止の仮処分の申立てをします。

③刑事告訴等

クレーマーの不当要求行為が、見過ごせないほどの悪質なものになっている場合には、 偽計業務妨害罪や、脅迫罪での刑事告訴も検討すべきです。   以上、クレーマー対応を得意とする弁護士が、 タイプ別に悪質クレーマーの弱点と対応術についてお話させていただきました。 クレーマー対応にお困りの企業様や経営者様は、是非当事務所との顧問契約をご検討ください。
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