ネット上に会社の誹謗中傷や機密情報を書き込む社員への対応

インターネット上に、会社の誹謗中傷や機密情報が書き込まれてしまうと、
その性質上、とてつもない速度で拡散してしまい、完全に消去することはほぼ不可能です。

 

最近は、誹謗中傷や機密情報の書き込みだけでなく、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)に
悪ふざけしている写真・動画を投稿したことが原因で、会社の信用が毀損され、
そこから発生したトラブルの対応に迫られることも増えてきました。

 

これらは、企業にとって非常に大きな問題です。

ガイドラインの策定

そもそも、SNSなどへの投稿は私的行為ですので、使用を全面的に禁止することはできません。
そこで、防止策としてガイドラインを策定し、研修などを通じて、不用意なSNSなどへの投稿が
及ぼす影響を社員に周知・理解させることが大切です。

 

国も、復興庁職員によるツイッターでの不適切発言が問題になったことから
国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点』を取りまとめています。

証拠保全と削除請求

ここからは、社員が書き込み・投稿を行っている場合について解説していきます。
ですので、情報発信者が特定できていない場合には【ネット風評被害】のページをご覧ください。
(SNSへの投稿の場合、他の投稿の内容プロフィールなどから特定できることが多いです。)

 

まずは、書き込み・投稿が削除される前に、プリントアウト、スクリーンショットなどで
証拠を保全しておきましょう。その際に書き込み・投稿場所のURLも合わせて残しておくことが大切です。

 

情報発信をした社員を特定できたのであれば、当該社員に事情を確認し、
まずは、任意で削除を依頼し、応じなければ削除命令、もしくは運営会社への削除請求を検討します。

 

社員へ削除命令をする際には、問題となっている部分のみでなければなりません。

日本経済新聞社(記者HP)事件(平成14年3月25日 東京地方裁判所)より
HPを閉鎖するよう命じた業務命令は、HPで公開されていた同人作成の文書のうち、
就業規則上問題となる記載部分を特定することなくHP全体の閉鎖を命じたものであるから、
その業務命令権の範囲を逸脱した無効なものである。

社員への措置

ネット上に会社の誹謗中傷や機密情報が書き込んだ社員、
悪ふざけしている写真・動画を投稿した社員への措置として

 

①懲戒処分
②損害賠償請求(民事上の措置)
③刑事告訴(刑事上の措置)

 

などが考えられます。
社員の行為がどれほどの損害・悪影響を与えたのかにもよりますが、
懲戒処分(もしくは注意指導)のみで済ますことが通常です。

懲戒処分について

社員の情報発信は、業務時間内や職場での行為(社内での非違行為)と
勤務時間外で職場外での行為(私生活上での非違行為)の2通りが考えられます。

 

社内での非違行為については、就業規則に服務規律について定めておくことで懲戒処分が可能になります。
私生活上での非違行為の場合は、発信された情報が企業秩序に影響を与えるものでなくてはなりません。

※(被上告会社=会社・上告人=社員)
関西電力事件(昭和58年9月8日 最高裁判所)より
ビラの内容が大部分事実に基づかず、又は事実を誇張歪曲して被上告会社を非難攻撃し、
全体としてこれを中傷誹謗するものであり、右ビラの配布により労働者の会社に対する
不信感を醸成して企業秩序を乱し、又はそのおそれがあつたものとした原審の認定判断は、(中略)
その過程に所論の違法があるものとすることはできない。(中略)上告人による本件ビラの配布は、
就業時間外職場外である被上告会社の従業員社宅において職務遂行に関係なく行われたものではあるが、
前記就業規則所定の懲戒事由にあたると解することができ、これを理由として上告人に対して懲戒として
譴責を課したことは懲戒権者に認められる裁量権の範囲を超えるものとは認められないというべきであり、
これと同旨の原審の判断は正当である。

(全文は裁判所のホームページよりご覧いただけます。)

損害賠償請求について

会社から、社員へ損害賠償請求をする際には、請求できる金額が制限される傾向にあります。

茨城石炭商事事件(昭和51年7月8日 最高裁判所)より
事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、
加害行為の予防若しくは損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし
損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、
被用者に対し右損害の賠償又は求償の請求をすることができる。

この事例では「賠償及び求償を請求しうる範囲は、信義則上右損害額の四分の一を限度とす べき」とされています。
(全文は裁判所のホームページよりご覧いただけます。)

刑事告訴について

よほど重大な事件でない限り、すぐに告訴が受理されることはありません。
これは、告訴を受理すると捜査義務が発生するのですが、示談が成立することによって
告訴が取り下げられてしまったり、証拠不十分だと捜査が無駄になってしまう恐れからです。
そのため、何度も告訴状の内容を更新する必要があります。

 

損害賠償請求刑事告訴を検討するときには、それにかかる時間や労力などから、
それに見合うだけの効果があるのかを考慮しましょう。

まとめ

SNSの普及により、誰でも手軽に情報を発信できるようになったことから、
このような問題が増えてきています。

 

特に不適切動画などの投稿は『バイトテロ』と呼ばれるように、
アルバイトのような非正規雇用で、責任を負っていないと考えている従業員が
問題を起こしてしまいます。

 

このような問題を防止するためにも、従業員全員に責任感を持ってもらい、
不平不満が出ないような職場環境づくりを目指しましょう。

 

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