遅刻・無断欠勤が多い社員への対応
社員の遅刻や無断欠勤は、労働契約上の義務を履行していないことから懲戒処分の対象となり得ます。
しかし、あまりにも遅刻や無断欠勤が多いからと言って、すぐに解雇できる訳ではありません。
まずは、解雇を有効とした裁判例と無効とした裁判例から確認していきましょう。
解雇を有効とした裁判例(東京プレス工業事件・横浜地方裁判所 昭和57年2月25日)
当該社員は、解雇前の半年間に24回の遅刻と14回の欠勤をしていた。
会社の対応として、10回遅刻をした際に譴責処分とし、始末書を提出させたが、その直後に2度遅刻を繰り返し、人事課長より再度注意をした。その後も十数回の遅刻・無断欠勤を繰り返したため、就労の意思の有無を確認し、反省の意を表明したので、訓戒処分にとどめたにもかかわらず、その後も遅刻・無断欠勤が続いたため懲戒解雇とした。
解雇を無効とした裁判例(神田運送事件・東京地方裁判所 昭和50年9月11日)
当該社員は、1年間に99回の遅刻早退(出勤日数252日のうち)と27回の欠勤をしていた。
会社は、勤務状態の不良についての制裁措置をとらず、反省の機会を与えないまま諭旨解雇とした。
対応方法
上記、裁判例のように勤務状態の不良を理由に、いきなり解雇することはできません。
反省の機会を与えたか、正当な理由なく遅刻・欠勤をしていたのかなど証拠を残しておきましょう。
証拠①【勤怠管理】
問題社員のいる・いないに関わらず勤怠管理は大切です。
日頃からタイムカードで労働時間を管理し、遅刻・欠勤が発生したときには、遅刻届・欠勤届を提出させるようにしておきましょう。
証拠②【遅刻・欠勤の原因】
遅刻や無断欠勤が多いのは、その社員の性格が問題とは限りません。
特に、これまでの勤務態度に問題が無かった社員に遅刻・欠勤が突然増えた場合などは、体調不良が原因の可能性があります。
まずはヒアリングをし、体調不良が原因と疑われるようであれば、医師への受診を促したり、希望があれば業務内容を軽減するなどの社員の体調を回復させる努力をしましょう。
原因も調べずに、懲戒処分をするのは大変危険です。企業として、社員のことを第一に考えて対応することが大切です。
証拠③【注意指導】
体調不良などではなく、社員の性格の問題で、遅刻や無断欠勤が多いときは注意指導が必要です。
その際の注意点として、【問題社員対応】のページでも書いていますが、メールや文書による注意指導だけでは、コミュニケーション不足が問題行動を止めない原因とも考えられるため気を付けなければなりません。逆に、口頭のみの注意指導だけでは、審判や裁判までに発展した場合に注意指導した確かな証拠が残りません。
まずは、社員へ遅刻・欠勤の理由を確認し、改善を促しましょう。(このときのやり取りを書面にまとめておくと、なお良いです。)それでも、改善されない場合は、戒告や譴責などの軽い懲戒処分を行い今後も改善されなければ、処分が重くなっていくと警告しましょう。
まとめ
解雇を無効とした裁判例のように、通常では考えられない回数の遅刻・欠勤をしていたとしても、一度も制裁措置をとっていなければ解雇は認められません。
厳重注意書などの書面で注意指導した場合は、「受け取っていない」「受け取ったが、内容が事実と異なる」などと主張されることがあるので、厳重注意書に押印してもらい写しを取っておくとよいでしょう。
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