働き方改革法の成立で何が変わる?

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(いわゆる「働き方改革法」・「働き方改革関連法」)が成立し、平成30年7月6日に公布されました。

 

これにより、私たちの生活がどのように変化するのでしょうか。

今回は特に注目されている3つの内容についてわかりやすく解説していきます。

 

目次

1.働き方改革法とは

2.時間外労働の罰則付きの上限規制

3.同一労働同一賃金の導入

4.高度プロフェッショナル制度の創設

5.まとめ

 

1.働き方改革法とは

そもそも働き方改革とはどのようなものなのでしょうか。

厚生労働省掲載の【「働き方改革」の目指すもの】を見てみましょう。

 

我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。

こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。

「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

 

それでは今回ご紹介する3つの内容はどのような課題を解決するためのものなのでしょうか。つまり、働き方改革法とは日本が抱えている課題(労働問題)を解決するために制定されました。

1つずつ確認していきましょう。

 

2.時間外労働の罰則付きの上限規制

現状(働き方改革法施行前)では特別な手続きをすることにより(36協定1に「特別条項付協定」を追加することにより、1年間で6か月まで)時間外労働の上限を事実上無しにすることができることが問題視されてきました。

働き方改革法施行後は、この上限を無しにできていた部分に上限が設定される2ことになります。

 

・時間外労働の上限規制でどんな課題が解決できる?

時間外労働の上限規制の根幹に長時間労働問題があり、これが生産年齢人口の減少や労働生産性の低下の一因とされています。

つまり、時間外労働の上限を規制することによって長時間労働を是正し、生産年齢人口の減少を抑制や労働生産性の上昇を目指しています。

 

※1

36協定(サブロク協定・サンロク協定)

時間外・休日労働に関する協定届のこと。

労働基準法36条に該当することから一般的に36協定と呼ばれています。

※2

特別な事情がある場合でも年720時間、複数月平均80時間、月100時間未満を限度に設定。適用猶予・除外になる一部の事業・業務があります。

詳しくは政府発行の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」の概要をご覧ください。

 

3.同一労働同一賃金の導入

同一労働同一賃金とは同じような仕事や職種に就くものはその雇用形態、性別、人種や国籍などに関係なく、同じくらいの賃金が支払われるべきであるという考え方です。

今回制定された働き方改革法では、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差を解消するために掲げられました。

 

不合理な待遇差を解消するとどんな課題が解決できる?

そもそも何故、非正規雇用で働いている人がいるのでしょうか。

 

統計局のデータによると以下のような理由などがあるようです。

 

・正規の職員・従業員の仕事が無い

・家事・育児・介護などと両立しやすい

・自分の都合の良い時間に働きたい

 

つまり、非正規雇用で働く人が増えるということが「働き方改革」の目指すもの】に書かれている「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」という状況を表しています。

そして、不合理な待遇差を解消することによって、このように様々な理由からやむを得なく非正規雇用で働いている人たちが不合理な待遇差で失っていた意欲を取戻して労働生産性を向上させたり、正規雇用と非正規雇用に不合理な待遇差が原因で選択できなかったその人のニーズに合った仕事を選ぶことができるようになると考えられます。

 

・どの程度の待遇差であれば問題ない?

様々な場合があり一概には言えませんが、厚生労働省掲載の「同一労働同一賃金ガイドライン案」にいくつかの例が記載されています。

それでも分からない場合は厚生労働省が設置した「同一労働同一賃金に関する専用相談窓口」に問い合わせをしたり、お近くの弁護士・社会保険労務士に相談してみてはいかがでしょうか。

 

4.高度プロフェッショナル制度の創設

高度プロフェッショナル制度とは専門性の高い一部の業務に従事し、一定の収入(少なくとも1,000万円以上1)を有している労働者に対して労働時間、休日、深夜の割増賃金などの規定を適用外にできる制度です。

これは管理監督者2へは支払われていた深夜の割増賃金や、裁量労働制でも支払われていた残業代・休日手当も適用外の対象となります。

 

労働時間の規定を適用外にできるという文面を見ると「時間外労働の上限規制」と正反対の内容にも受け取れますが、どういった狙いがあるのでしょうか。

 

いくつか考えられますが、大きなものとして労働生産性の向上があります。

 

現状の国内企業の多くは労働時間の長さに対する評価が大きく、残業をすれば成果に関係なく報酬が支払われる傾向にあります。それによって同じ成果を上げていても仕事が遅く残業をした人の方が報酬が多くなり、それがモチベーションの低下に繋がっています。

 

高度プロフェッショナル制度では労働時間に報酬が左右されないので、効率よく短時間で成果をあげようとするため労働生産性の向上が期待されています。

※1:

働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の概要より

※2:

課長・部長・店長などが管理職と呼ばれていますが、名ばかり管理職と言われる言葉があるように必ずしも管理職が管理監督者とは言えません。

 

5.まとめ

働き方改革法について少しでもご理解いただけたでしょうか。

 

ここでは詳しく紹介はしていませんが、働き方改革法にはまだまだ問題点(高度プロフェッショナル制度が「残業代ゼロ制度」などと呼ばれ反発されていることなど)もありますし、働き方改革法の概要には「働き方改革の総合的かつ継続的に推進」と書かれているように、これからも働き方改革法は変革していくことでしょう。

 

そのときに、私たち一人ひとりが働き方改革法を理解し、より良い将来の展望を持てるように目指すことが必要になってきます。

 

ここまでの記事をご覧になって今回の働き方改革法が自分の会社にはあまり関係がないとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

確かに残業時間が月45時間・年360時間以内に収まっているのなら時間外労働の上限規制の影響はありませんし、高度プロフェッショナル制度も特定の職種に限られています。

 

しかし、同一労働同一賃金の導入にあたり正規雇用社員と非正規雇用社員への待遇差の合理性を説明する義務が生じますし、大げさかもしれませんが何もしなければ、働き方改革が広まることによってより良い環境を求めて優秀な社員が出て行ってしまうこともあるかもしれません。

 

ですので、働き方改革法の成立をきっかけとして一度だけでもあなたの会社の働き方も改革(就業規則の見直しや労務コンプライアンス研修を受けるなど)をしてみてはいかがでしょうか。

 

就業規則の見直しは余計なトラブルの回避や合わせてその他の労働に関する相談ができるなどの利点がありますので専門家(弁護士・社会保険労務士)に依頼することをお勧めします。

 

当事務所でも就業規則の作成・見直し、企業内研修を受け付けております。

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