業務命令がパワハラに?判断基準と企業の対策

文責:弁護士 野上 晶平

業務命令とパワハラ(パワーハラスメント)の定義

「業務命令」とは

業務命令とは、企業が労働契約に基づいて従業員に対して発する指示や命令のことを指します。労働契約法第6条では、「労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する」と定められています。この契約関係に基づき、企業は従業員に対して業務上必要な指示を出す権限、いわゆる「指揮命令権」を有しています。

したがって、業務命令の内容が合理的で業務上の必要性がある限り、従業員は原則としてこれに従う義務があります。具体的には、日常的な業務指示、残業命令、出張命令、配置転換、職務内容の変更など、さまざまな形態で業務命令が行われます。ただし、この業務命令権は無制限に認められるわけではなく、後述するように、業務の適正な範囲を超えた命令は違法となる可能性があります。

法令が定める「パワハラ」の定義と6つの類型

パワハラ(パワーハラスメント)とは、職場における優越的な立場を背景とした嫌がらせ行為を指します。2020年(令和2年)に施行された改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)により、その定義が明確化され、現在、日本ではパワハラ防止法およびその指針において、パワハラの定義と具体例が示されています。

 

法令上、パワハラと評価されるためには、一般に次の3つの要素をすべて満たす必要があるとされています。

  1. 優越的な関係を背景とした言動であること
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
  3. 労働者の就業環境を害するものであること

 

さらに、指針ではパワハラの典型例として、次の6つの類型が示されています。

 

類型

具体的な行為の例

身体的な攻撃

殴打、足蹴り、物を投げつけるなど、身体に危害を加える行為

精神的な攻撃

人格を否定するような暴言、脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言など

人間関係からの切り離し

隔離、無視、仲間外しなど、業務上必要な情報共有やコミュニケーションを意図的に遮断する行為

過大な要求

達成不可能なノルマの強制、業務と無関係な私的な雑用の強制など、明らかに遂行不可能な業務を命じる行為

過小な要求

能力や経験に見合わない、または業務上の必要性がない単純作業のみを命じる、仕事を与えないなど、キャリア形成を阻害する行為

個の侵害

私的なことに過度に立ち入る、機密性の高い個人情報を暴露するなど、プライバシーを侵害する行為

 

業務命令に関連するパワハラは、特に精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求の類型で問題となることが多いです。

指導・注意・叱責とパワハラの違い

企業の経営者や管理職の方から、「どこまでが適正な指導で、どこからがパワハラになるのか」というご相談を数多くいただきます。この境界線が曖昧であるため、必要な指導を躊躇してしまう管理職が増えているのも事実です。

まず、業務上の適正な指導や注意、叱責は、パワハラには該当しません。たとえば、遅刻や業務上のミスに対して注意することや、業務改善のために具体的な指導を行うことは、むしろ管理職として当然の職務です。また、業績不振に対して改善を求めたり、目標達成に向けた具体的なフィードバックが多少厳しい表現になったとしても、その方法が適切であれば問題ありません。

他方で、これらの指導が適正な範囲を超えた場合には、パワハラと判断される可能性があります。具体的には、人格を否定するような言葉を使う、必要以上に大声で叱責する、長時間にわたって執拗に叱責する、他の従業員の前で見せしめ的に叱責する、といった行為は、たとえ業務上の指導という名目であってもパワハラに該当する可能性が高いです。

つまり、指導の「目的」が業務改善にあるか、「方法」が社会通念上相当な範囲内か、そして「手段」が過度な精神的苦痛を与えていないか、という3つの視点から判断することが重要です。

業務命令がパワハラと判断される境界線

それでは、どのような場合に、業務命令がパワハラと判断されるのかを、法令上の3つの要件を踏まえながら、境界線の考え方を整理し、あわせて具体例を見ていきましょう。実務では、「この程度の指示は当然だ」と考えていた行為が、後になってパワハラだと主張されることもあるため、あらかじめ判断の枠組みを知っておくことが重要です。

パワハラと判断される3つの要件

前述の通り、業務命令がパワハラと判断されるためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

 

  1. 優越的な関係を背景とした言動であること
    これは、命令を発する側が、受ける側に対して職務上の地位や人間関係、知識・経験などで優位にあることを利用している状態を指します。これは、上司と部下という職務上の地位に基づく関係だけでなく、専門知識や経験の差、あるいは同僚間でも集団による行為など、様々な優位性が含まれます。したがって、業務命令の多くは、この要件を満たす可能性があります。
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
    この要件が、業務命令とパワハラを分ける最も重要な判断基準となります。業務上の必要性があるか、その方法や程度が社会通念上相当な範囲内か、という視点から判断されます。たとえば、業務とまったく関係のないことを命じたり、達成不可能なノルマを課したり、人格を否定するような言動を伴ったりする場合は、この要件を満たすことになります。また、注意や叱責についても、執拗に繰り返したり、休憩時間や深夜など不適切な時間帯を選んだり、大勢の前で行ったりすれば、同様にパワハラに該当する可能性があります。
  3. 労働者の就業環境を害するものであること
    当該行為によって、従業員が身体的または精神的な苦痛を感じ、その結果、就業環境が不快なものとなり、能力の発揮に悪影響が生じることを意味します。単に、その従業員が「嫌な気持ちになった」という主観的な感情ではなく、平均的な労働者の感じ方を基準とするとされています。

 

したがって、業務命令がパワハラかどうかを検討する際には、誰が誰に対して行ったのか、その命令に業務上の必要性があるのか、命令の内容・方法・頻度が社会通念上相当といえるか、その結果として従業員の就業環境がどう変化したか、という点を丁寧に確認していくことが必要になります。

業務命令がパワハラと認定された具体例

実際の裁判例から、業務命令がパワハラと認定されたケースをご紹介します。

 

【K化粧品販売事件(大分地裁平成25220日判決)】(類型:精神的な攻撃)

この事案では、会社の研修会においてレクリエーション目的でコスチュームを着用して参加するよう求める業務命令が出されました。裁判所は、本来の業務とまったく関係のないことを強制するものであるとして、パワハラに該当すると判断し、22万円の慰謝料請求を認めました。

 

3要素について確認》

  1. 優越的な関係について
    課長、係長、主任・エリアマネージャー等の従業員の上司からコスチュームの着用を求めたものであり、たとえ任意であったことを前提としてもその場で拒否することは非常に困難であった。
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであるかについて
    新商品や販売方法を勉強することを趣旨とする研修会で、販売個数未達の罰ゲームとしてコスチュームの着用を求めたことは会社の業務内容や研修会の趣旨と全く関係なく、別の研修会で当該従業員の了解なく、コスチュームを着用したスライドを投影したという事情は、研修会が1日だったことなどを考慮しても、社会通念上正当な職務行為であるとはいえない。
  3. 労働者の就業環境を害するものであるかについて
    本件研修会のスライドが投影された後、間をおかずしてクリニックに通院を開始し、コスチュームの着用のことが通院開始の際の愁訴に含まれていたことなどからするとコスチュームの着用及びスライド投影を含むこれに伴う状況によって精神的に相当の苦痛を感じたことは明らか。

 

【神奈川中央交通(大和営業所)事件(横浜地裁平成11921日判決)】(類型:過小な要求)

軽い接触事故を起こした運転手に対し、1ヶ月間にわたって草むしりを命じた事案です。期限も示さずに毎日炎天下で草むしりをさせたことは、安全運転の徹底という目的から大きく外れているとして、パワハラと認定され、60万円の慰謝料請求が認められました。

 

3要素について確認》

  1. 優越的な関係について
    営業所所長からの業務命令だった。
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであるかについて
    炎天下における構内除草作業のみを選択し、従事させることは、安全な運転を行うことができないおそれがある運転士を一時的に乗車勤務から外しその運転士に乗車勤務復帰後に安全な運転を行わせるという下車勤務の目的から大きく逸脱している。
  3. 労働者の就業環境を害するものであるかについて
    炎天下における構内除草作業で、従業員が病気になっても仕方がないとの認識のもと、従事させていた。

 

【不当な謝罪を強要した事例(甲府地方裁判所平成301113日判決)】(類型:精神的な攻撃)

関連事件:甲府地方裁判所平成31115日判決

 

児童の飼い犬に咬まれてけがをした教員に対し、校長が公務災害と認めず、保護者への賠償請求について謝罪するよう強要した事案です。裁判所は、被害者である教員を一方的に非難し、理由のない謝罪を強いる行為は、パワハラに該当すると判断し、約295万円の慰謝料請求が認められました。

 

3要素について確認》

  1. 優越的な関係について
    校長からの業務命令だった。
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであるかについて
    校長は、犬咬み事故は公務災害には該当しないと認識し、保護者に対して損害賠償請求ができなければ、泣き寝入りするしかなくなってしまうのに、損害賠償請求の話をしたことについて批判した。
    犬咬み事故の被害者であり、謝罪することに納得できないことは当然なのにもかかわらず、校長は、保護者の理不尽な要求に対し、事実関係を冷静に判断して的確に対応することなく、専らその場を穏便に収めるために安易に行動した。
  3. 労働者の就業環境を害するものであるかについて
    従業員にはうつ病に親和的な性格があったが、症状は徐々に軽快し、通常どおり勤務することが見込まれていたところ、校長の不法行為によって急激に症状が増悪してうつ病を発症した。

業務命令がパワハラと認定されなかった具体例

一方で、業務命令がパワハラと認定されなかった事例も存在します。これらの事例から、裁判所が「業務の適正な範囲」をどのように判断しているかを理解することができます。

 

【利用者獲得のためのチラシ配布や勤務表作成命令事例(静岡地裁平成2679日判決)】

この事案では、常務理事が従業員に対してチラシを配布するよう指示したり、デイ看護師の勤務表の作成を命じたことなどについて、業務上必要な指示であるとして、パワハラとは認められませんでした。なお、常務理事のパワハラ行為は認められませんでしたが、従業員が携わっていた業務は、客観的にみて、精神障害を発病させる程度のものだったとして、裁判所は、会社側に対して、安全配慮義務違反として50万円の支払いを命じています。

 

3要素について確認》

  1. 優越的な関係について
    常務理事からの業務命令だった。
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであるかについて
    主として、発足したばかりのデイサービスの経営を軌道に乗せ、安定的な経営体制を構築しようという意図に出たものと推認されるのであったこと、従業員はセンター長の地位にあり業務の改善策などを提案するべき立場にあったことを考慮すれば、不当であるとはいえない。
    デイ看護師の勤務表の作成は従業員の職務の範囲内の業務だった。
  3. 労働者の就業環境を害するものであるかについて
    「うつ病」と診断され、診断書には、「…憂鬱感、不眠、食欲不振なども顕著であり、…仕事上のストレスが原因と考えられ、症状が強いため、今後最低一ヶ月の休職が必要と考えられる。」などと記載されていた。

 

【セクハラを行った従業員に対して会議や懇親会への参加を制限した事例(東京地裁令和272日判決)】

従業員側が、全体会議や懇親会への参加を制限したことが、「人間関係からの切り離し」であると主張しましたが、社会的相当性を逸脱した態様の制約を行ったとまではいえないとして、パワハラとは認められませんでした。

 

3要素について確認》

  1. 優越的な関係について
    各職員に業務を割り当てる者が、懇親会への参加の禁止、会議へのリモート参加を指示していた。
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであるかについて
    ストーカー行為は、社会通念上軽微なものであると評価できるものではなく、反省の態度が感じられなかったことも併せ考えると、被害女性との接触可能性がある行為を一定程度制限することは合理的であって、違法であるということはできない。また、女性職員全員との接触を一切制限するなど、社会的相当性を逸脱した態様の制約を行ったとまで認めるに足りる証拠はない。
  3. 労働者の就業環境を害するものであるかについて
    言及なし。

 

これらの事例から分かるのは、業務命令の内容に一定の合理性があり、明らかに嫌がらせ目的とは認められない場合には、パワハラと判断されるハードルは比較的高いということです。ただし、だからといって企業側が安心してよいわけではなく、常に業務の必要性と相当性を意識した業務命令を心がける必要があります。

企業が取るべきパワハラ防止のための対策と注意点

業務命令とパワハラの境界線は、どうしてもグレーになりやすい領域です。したがって、個別のトラブルが起きてから弁明を尽くすだけではなく、日頃からパワハラ防止の体制を整えておくことが、企業にとって極めて重要になります。

就業規則等による方針の明確化と周知

企業としてパワハラ防止に取り組む第一歩は、就業規則や社内規程において、パワハラに関する会社の方針を明確に定めることです。具体的には、就業規則やハラスメント防止規程において、パワハラの定義や具体例を示すことが重要です。また、パワハラを行った従業員に対する懲戒処分の種類や程度についても明記しておくべきです。たとえば、「パワハラ行為を行った場合は、譴責、減給、出勤停止または懲戒解雇とする」といった規定を設けることが考えられます。

さらに、これらの規定を作成するだけでなく、全従業員に対して周知徹底することが不可欠です。新入社員研修や定期的な社内研修の機会を活用し、会社がパワハラを決して許さない姿勢を明確に示すことで、予防効果を高めることができます。

相談窓口の設置と適切な運用

次に重要なのが、従業員が安心して相談できる窓口を設置することです。厚生労働省の指針でも、相談窓口の設置と適切な対応が求められています。

 

相談窓口を設置する際には、まず相談窓口の担当者を明確にし、全従業員に周知することが必要です。人事部門の担当者だけでなく、社外の弁護士や専門機関を相談窓口として設定することも有効です。特に、社内の人間関係に配慮して相談しにくいケースもあるため、社外窓口を併設することで、相談のハードルを下げることができます。

 

また、相談窓口の運用においては、相談者のプライバシー保護を徹底することが不可欠です。相談したことを理由に不利益な取扱いを受けないこと、相談内容が本人の同意なく他者に漏れないことを明確にルール化し、周知する必要があります。加えて、相談を受けた際には、迅速かつ適切に事実関係を調査し、必要な措置を講じることが求められます。

 

相談窓口が形骸化してしまわないよう、定期的に利用状況を確認し、必要に応じて運用方法を見直すことも大切です。

管理職・従業員への継続的な研修と教育

パワハラ防止には、管理職および一般従業員への継続的な研修と教育が欠かせません。特に、管理職は業務命令を出す立場にあるため、パワハラに関する正しい知識と適切な指導方法を身につける必要があります。

研修では、パワハラの定義や6つの類型について具体的に説明するとともに、実際の裁判例を用いて「どのような行為がパワハラに該当するのか」を具体的にイメージできるようにすることが効果的です。また、適正な指導とパワハラの境界線について、ケーススタディやグループディスカッションを通じて理解を深めることも有用です。

さらに、パワハラを受けた側の心理的影響や、パワハラが企業に与える損害(従業員の離職、生産性の低下、企業イメージの悪化、損害賠償リスクなど)についても理解を促すことで、パワハラ防止の重要性を認識してもらうことができます。

研修は、新任管理職研修や定期的な階層別研修に組み込むなど、継続的に実施することが重要です。

管理職が業務命令を出す際の注意点

管理職が日常的に業務命令を出す際には、以下の点に注意することで、パワハラのリスクを軽減することができます。

まず、業務命令の必要性と合理性を常に意識することです。その業務命令が本当に業務上必要なのか、目的に対して手段が適切かを自問することが重要です。また、部下の能力や経験、現在の業務量などを考慮し、実現可能な内容かどうかを確認する必要があります。

次に、命令の出し方に配慮することです。人格を否定するような言葉を使わない、感情的にならない、必要以上に大声を出さない、他の従業員の前で見せしめ的に叱責しないなど、伝え方にも注意を払うべきです。特に、普段から威圧的な態度で接している場合、通常の業務命令でも部下は「強制された」と感じる可能性があります。

さらに、日頃からコミュニケーションを取ることも重要です。部下がどのような仕事を抱えているのか、どのような悩みを持っているのかを把握し、信頼関係を築いておくことで、難しい業務をお願いする際にも協力を得やすくなります。良好な人間関係があれば、同じ業務命令でもパワハラと受け取られるリスクは大幅に低減します。

最後に、命令の記録を残すことも有効です。重要な業務命令については、指示書やメールなど記録に残る形で伝えることで、後日トラブルになった際の証拠となります。

パワハラに関して弁護士に相談するメリット

法的観点に基づいた客観的なアドバイス

まず、弁護士に相談することで、法的観点に基づいた客観的なアドバイスを受けることができます。現場では、「これはパワハラなのか、厳しい指導なのか」「この業務命令はどこまで許されるのか」といった判断に悩む場面が少なくありません。その際、感覚や経験だけに頼って判断すると、後になって思わぬリスクが顕在化するおそれがあります。

弁護士に相談することで、労働法や判例に基づいた客観的な法的評価を得ることができます。たとえば、「この業務命令はパワハラに該当する可能性があるか」「現在検討している懲戒処分は適切か」といった具体的な相談に対して、法的リスクを踏まえたアドバイスを受けることが可能です。

また、グレーゾーンの事案については、どのような証拠を集めるべきか、どのような手順で対応すべきかなど、実務的な助言も得られます。法的な裏付けのある判断をすることで、企業としても自信を持って対応することができますし、後日訴訟に発展した場合にも有利な立場を確保することができます。

予防的な社内体制の構築支援

弁護士の役割は、トラブルが発生してから対応するだけではありません。むしろ、トラブルを未然に防ぐための予防的な支援こそが重要です。

具体的には、就業規則やパワハラ防止規程の作成・見直し、相談窓口の設計、社内研修の企画・講師などの支援が可能です。特に、就業規則の規定については、法令に適合しているか、実効性のある内容になっているかを法的観点からチェックすることができます。

また、相談窓口の運用についても、どのような体制が適切か、相談を受けた際の調査方法や対応手順をどう定めるべきかなど、具体的なアドバイスを提供できます。これらの予防的な取り組みは、パワハラ問題の発生を大幅に減少させるだけでなく、万が一問題が発生した場合にも、企業が適切な措置を講じていたことを示す証拠となります。

万が一のトラブル発生時の迅速な対応

パワハラ問題が実際に発生した場合、初動対応の適切さがその後の展開を大きく左右します。対応を誤ると、問題が深刻化し、訴訟に発展したり、企業イメージが損なわれたりするリスクがあります。

弁護士に早期に相談することで、事実関係の調査方法、関係者へのヒアリングの進め方、証拠の保全方法など、法的に適切な手順で対応することができます。また、加害者とされる従業員への処分を検討する際にも、処分の妥当性や手続の適正性について助言を受けることができます。

さらに、被害者とされる従業員への対応(配置転換、休職、損害賠償など)についても、法的リスクを考慮した適切な対応を検討することができます。特に、労働審判や訴訟に発展した場合には、代理人として交渉や訴訟対応を依頼することで、時間的・精神的な負担を軽減しながら、会社として最適な解決策を探ることが可能となります。

再発防止に向けた制度設計と人事運用へのフィードバック

パワハラ問題が一度起きると、「その場をしのぐ対応」で終わらせてしまいがちですが、実は、そこから学びを得て再発防止に活かすことが極めて重要です。弁護士に相談することで、トラブルの原因を法的・組織的な観点から分析し、「どのルールを見直すべきか」「どのようなコミュニケーションが不足していたのか」といった点を整理することができます。

こうした分析を基に、就業規則の改定、研修内容の見直し、相談窓口の運用改善、人事評価制度の改善など、具体的な再発防止策を提案することができます。また、個別の事案から得られた教訓を、社内研修の教材として活用することも有効です(もちろん、プライバシーに配慮した形で)。

さらに、パワハラ問題の背景には、長時間労働や過度なノルマ設定、不適切な人事配置など、人事労務管理全般の問題が潜んでいることも少なくありません。弁護士は、こうした構造的な問題についても指摘し、改善に向けたアドバイスを提供することができます。

虎ノ門法律経済事務所和歌山支店のサポート内容

最後に、当事務所が行っている、業務命令やパワハラ問題に関するサポート内容についてご紹介します。当事務所は、企業法務、とりわけ企業・使用者側の労働問題を中心に取り扱っており、実務に即した具体的な支援を心がけています。

顧問弁護士としての日常的な業務命令・人事判断の相談対応

当事務所では、顧問先企業からの日常的な相談として、「この業務命令はどこまで許されるか」「この人事異動はパワハラと受け取られないか」「部下への指導の仕方に問題はないか」といったご質問を多くお受けしています。

こうしたご相談に対しては、会社の規模や業種、これまでの人事運用の経緯などを踏まえながら、単に法律論だけでなく、「現場で実行可能かどうか」という視点も重視してアドバイスを行います。また、必要に応じて、文書での注意・指導を行う場合の文面案や、面談の進め方についてもご提案しています。

日頃から顧問弁護士として関与していることで、会社の状況や組織文化を理解したうえでの助言が可能となり、「いざというときだけ相談する」よりも、きめ細かいサポートがしやすくなります。

規程整備・社内研修・相談窓口設計などの予防的支援

また、当事務所は、パワハラを「起きてから止める」のではなく、「起きにくい職場にする」ための予防的な支援にも力を入れています。具体的には、次のようなサポートを提供しています。

  • 就業規則やハラスメント防止規程の作成・改定
  • 業務命令や人事権行使に関する社内基準づくり
  • 管理職向け・従業員向けのハラスメント防止研修の企画・講師
  • パワハラ相談窓口の設計・運用ルールの整備

これらの取組みによって、業務命令とパワハラの境界線について、会社全体の共通理解を高めることができます。特に研修では、単なる法律解説だけでなく、実際に起こりがちな職場の場面を題材にしたケーススタディを通じて、「この発言は危ない」「この伝え方なら適切」といった感覚を養うことを重視しています。

予防から紛争対応まで一貫して伴走する支援体制

当事務所の強みは、予防的な支援から実際のトラブル対応まで、一貫してサポートできることです。

 

日頃からの相談対応や規程整備を通じて会社の実情を把握しているからこそ、万が一問題が発生した場合にも、スムーズに初動対応に入ることができます。

具体的には、社内調査の進め方や当事者ヒアリングのポイント、必要に応じた懲戒処分の検討、被害者への対応などについて、法的リスクを踏まえたアドバイスを行います。また、労基署への対応や労働審判・訴訟になった場合にも、これまでの経緯を理解したうえで、会社の立場を丁寧に主張していくことが可能です。

このように、予防から紛争解決、そして再発防止まで、一貫して貴社に伴走することで、長期的に安心して事業運営に専念していただける環境を整えることができます。

まとめ

業務命令がパワハラに該当するかどうかは、優越的な関係を背景とした言動か、業務上必要かつ相当な範囲を超えているか、労働者の就業環境を害しているか、という3つの要件をすべて満たすかどうかで判断されます。とはいえ、実際の現場では、適正な指導とパワハラの境界線を見極めることは容易ではありません。

企業としては、就業規則等による方針の明確化、相談窓口の設置、継続的な研修の実施など、予防的な体制を整えることが重要です。また、管理職が業務命令を出す際には、その必要性と合理性を常に意識し、命令の出し方にも配慮することで、パワハラのリスクを大幅に軽減することができます。

他方で、万が一パワハラ問題が発生した場合には、初動対応の適切さがその後の展開を大きく左右します。早期に弁護士に相談することで、法的に適切な手順で対応でき、問題の深刻化を防ぐことが可能です。

 

業務命令とパワハラの問題は、企業経営における重要なリスク管理の一つです。適切な業務命令の出し方、パワハラ防止体制の構築、トラブル発生時の対応方法などでお困りの方は、初回相談料は無料になっておりますのでお気軽に当事務所までご相談ください。

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