2024年問題を契機に、賃金体系等を見直そう!
1 2024年問題について
時間外労働について新たに設けられた上限規制について、建設事業や自動車運転の業務については、2024年3月31日までは適用されなかったのが、2024年4月1日以降は、これらの業種に対しても、新たな上限規制が設けられる、ということです。
これらの業種に時間外労働の上限規制が設けられることを、「2024年問題」と言うことがあります。
2 運送業がうける規制の内容
特別条項付き36協定(サブロク協定)を締結する場合の年間の時間外労働の上限が年960時間となります(労働基準法36条)。
なお、時間外労働と休日労働の合計時間について、「月100時間未満」「2~6ヶ月の平均時間80時間以内」とする規定もありますが、これについては運送業には適用されません。
また、「時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月まで」という規制も、運送業には適用されません。
3 改正「改善基準告示」も2024年4月から新基準に
改善基準告示とは、労働基準法とは別に、「自動車運転差の労働時間等の改善のための基準」(厚生労働大臣告示)のことを言い、トラック、バス、ハイヤー・タクシー等の自動車運転者について、労働時間等の労働条件の向上を図るため拘束時間の上限、休息時間について設けられた基準のことです。
平成9年以降、変更がなかったのですが、令和4年12月に以下のように変更されることが決まり、令和6年4月1日から施行されることになります。
【トラック運転者の場合】
- 1年の拘束時間(※「労働時間」+「休憩時間」)3516時間⇒原則3300時間、最大3400時間
- 1か月の拘束時間原則293時間⇒284時間
- 最大320時間⇒310時間
- 1日の休息時間(業務終了時刻から、次の始業時刻までの時間)継続8時間⇒継続11時間を基本に、継続9時間
- 1日の拘束時間13時間(延長する場合の限度は15時間)(例外あり)
4 割増賃金率も2023年4月1日から変更に
2023年3月1日までは、月60時間超の残業割増賃金率が中小企業は25%であったのが、2023年4月1日から労働させた時間について、割増賃金の引き上げの対象となり、50%に引き上げとなっています。
5 運送業が今後検討すべきこと
❶労働時間が残業上限規制・改善基準告示に収まっているか⇒罰則あり❷労働時間を減らす工夫、隠れ労働時間の有無
❸労働時間の減少に伴って従業員の収入が減ることに対する対応、未払残業代問題、賃金制度の不備⇒賃金制度の再確認・変更・再構築
6 2024年問題は運送業にとって賃金制度の再確認・変更・再構築のチャンス!
2024年問題は、運送業を営む会社にとって、悩ましい問題になることもあるかもしれません。
しかしながら、これから先、会社が続いていったとき、2024年問題を振り返ると、会社にとって、大きな点になった、ということが多いと思われます。すなわち、2024年問題は、運送業にとって、就業規則や賃金規定を見直す良いタイミングになると私は考えております。
特に、長年、就業規則を改訂していない、賃金規定どおり賃金が支払われていない会社にとっては、この機会に、就業規則や賃金規定を見直すべきです。そして、それは、単に、2024年問題をきっかけに、というわけではなく、様々な労働判例を俯瞰すると、このタイミングで就業規則や賃金規定を見直すことは、不利益変更の問題を乗り越えるチャンスであると考えることができるのです。詳しくは、直接お話したいので、少しでも、就業規則や賃金規定を見直した方が良いかも…と考えておられる運送会社様は、初回の相談料は無料となっておりますので、是非、当事務所に面談にお越しください。