2025年完全施行!高年齢者雇用安定法の実務対応
文責:弁護士 野上 晶平高年齢者雇用安定法の概要と背景
高年齢者雇用安定法とは
高年齢者雇用安定法は、正式名称を「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」といい、1971年に制定された法律です。この法律は、高年齢者の雇用の安定を図ることを目的としており、事業主に対して高年齢者の雇用確保措置を講じることを義務付けています。
具体的には、定年の引上げや継続雇用制度の導入など、高年齢者の雇用機会を確保するための措置を企業に求めています。また、高年齢者の再就職の促進や多様な就業機会の確保なども規定されています。この法律によって、長年にわたり培われた高年齢者の知識や経験を活かした就業が可能となり、企業にとっても貴重な人材の確保につながっています。さらに、高年齢者自身の生きがいや収入の確保にも大きく貢献しているのです。
とりわけ、近年の日本では、少子高齢化の進行に伴い、労働力人口の減少が深刻な社会問題となっています。そのため、高年齢者の活躍の場を広げることが社会的にも重要視されており、この法律の役割はますます大きくなっています。
法制定・改正の社会的背景
高年齢者雇用安定法が制定された1971年当時、日本は高度経済成長期にあり、労働力需要が高まっていました。しかし、当時は55歳定年制が一般的であったため、多くの高年齢者が早期に労働市場から退出する状況がありました。そのような背景から、高年齢者の雇用安定を図るための法整備が必要となったのです。
その後、日本社会は急速に高齢化が進み、年金支給開始年齢の引上げも相まって、高年齢者が長く働き続けることへの社会的ニーズが高まりました。これに対応するため、高年齢者雇用安定法は数次にわたる改正が行われてきました。2004年の改正では65歳までの雇用確保措置が段階的に義務化され、2012年の改正では経過措置が終了し、希望者全員を65歳まで雇用することが企業に義務付けられました。
そして2020年の改正では、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務として導入されました。これは、人生100年時代を見据えた「人生現役社会」の実現を目指す政府の方針に基づくものです。また、労働力人口の減少に伴う人手不足への対応や、年金制度の持続可能性確保という社会保障政策の側面も持っています。
このように、高年齢者雇用安定法は社会情勢の変化や課題に対応しながら、高年齢者の就労を支える重要な法的枠組みとして発展してきました。そして2025年4月に既存の経過措置が終了したため、高年齢者雇用安定法は新たな段階を迎えることになったのです。
2025年4月施行のポイント
2025年4月からは、これまでの経過措置が終了し、完全施行となる高年齢者雇用安定法の規定が本格的に運用されることになります。これに伴い、企業は従来の措置から新たな対応策への移行を求められるため、事前の準備や制度見直しが不可欠です。本節では、具体的に65歳までの雇用確保措置の経過措置終了や70歳までの雇用確保措置の内容、さらに企業が選択すべき5つの具体的措置について詳しく解説します。
65歳までの雇用確保措置の経過措置終了
2012年の法改正により、企業には希望者全員を65歳まで雇用する義務が課されました。ただし、当時すでに労使協定を締結していた企業については、2025年3月31日までの経過措置として、継続雇用制度の対象者を限定することが認められていました。しかし、この経過措置が2025年4月1日をもって終了するのです。
これにより、経過措置を適用していた企業においても、2025年4月1日以降は、原則として希望者全員を65歳まで雇用することが求められることになります。したがって、現在経過措置を適用している企業は、制度の見直しが必要になります。特に、就業規則に経過措置に関する規定がある場合は、その削除や変更が必要となるでしょう。
70歳までの雇用確保措置の概要
2020年の高年齢者雇用安定法改正(2021年4月1日施行)により導入された「70歳までの雇用確保措置」についても理解を深めておく必要があります。この制度は、65歳までの雇用確保措置とは異なり、現時点(2025年4月時点)では企業の「努力義務」として位置づけられています。しかし、将来的には義務化される可能性もあるため、先を見据えた対応が求められます。
この制度では、企業に対して70歳までの就業機会を確保するための措置を講じるよう求めています。具体的には、70歳までの定年引上げや継続雇用制度の導入、定年制の廃止などが例として挙げられます。また、雇用関係に限らず、業務委託契約や社会貢献活動への従事など、多様な選択肢が用意されているのが特徴です。
この措置の対象となるのは、①定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主、②継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く)を導入している事業主です。これらの事業主は、法律で定められた選択肢の中から、自社の状況に合った措置を講じるよう努める必要があります。
企業が講ずべき5つの選択肢
高年齢者雇用安定法第10条の2では、企業が70歳までの就業機会確保のために講ずるべき措置として、5つの選択肢が考えられます。これらの選択肢を理解し、自社に最適な方法を選ぶことが重要です。
- 70歳までの定年引上げ
現在の定年年齢を70歳まで引き上げる方法であり、最もシンプルな対応と言えるでしょう。ただし、人事制度全体の見直しが必要になる場合もあります。 - 定年制の廃止
定年そのものを廃止し、年齢に関わりなく雇用を継続する方法です。実力や成果に基づく人事制度を導入している企業には適した選択肢かもしれません。しかし、評価制度の厳格化や賃金体系の見直しなど、付随する制度改革も検討する必要があります。 - 70歳までの継続雇用制度の導入
再雇用制度や勤務延長制度など、定年後も引き続き雇用する仕組みを設けるものです。特筆すべきは、自社だけでなく、特殊関係事業主(子会社や関連会社など)や他の事業主による継続雇用も認められている点です。グループ企業での人材活用や、業界内での人材シェアリングなど、柔軟な対応が可能となっています。
【再雇用制度】
定年時に一度退職扱いとし、新たに雇用契約を締結します。労働条件(賃金、職務、勤務時間など)を見直すことが一般的です。
【勤務延長制度】
定年後も退職扱いとせず、雇用関係を継続したまま勤務期間を延長します。役職や賃金などの労働条件を変更しない、あるいは軽微な変更に留めることが多いです。
- 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
これは雇用関係ではなく、業務委託契約という形で高年齢者の就業機会を確保する方法です。例えば、定年退職者が独立して個人事業主となり、元の会社と業務委託契約を結ぶケースなどが考えられます。この方法は、高年齢者の働き方の自由度を高めつつ、企業側も柔軟な人材活用が可能となるメリットがあります。 - 70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入
具体的には、
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
という2つの形態があります。企業のCSR活動(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)と連携させることで、高年齢者の経験を社会に還元する意義ある取り組みとなり得えます。なお、この措置を導入する場合、企業は対象となる事業や活動内容、資金提供の方法、従事する際の条件などを定めた計画を作成し、過半数労働組合等の同意を得た上で、労働局に申請し認定を受ける必要があります。
これらの選択肢から、企業は自社の状況や高年齢者の希望に応じて最適な方法を選択し、制度設計を行うことが求められます。また、複数の選択肢を組み合わせることも可能です。例えば、一部の従業員には継続雇用制度を適用し、別の従業員には業務委託契約を結ぶなど、多様な働き方に対応した制度設計が可能となっています。
改正法への企業の実務対応
就業規則の見直しポイント
2025年4月の高年齢者雇用安定法の改正に伴い、企業は就業規則の見直しが必要になります。特に重要なのは、65歳までの雇用確保措置の経過措置に関する規定を含む就業規則がある場合、その削除または修正が必須となる点です。この対応を怠ると、法律違反となるリスクがありますので、注意が必要です。
まず、現行の就業規則における定年制度や継続雇用制度の規定を確認しましょう。特に、「継続雇用制度の対象者を限定する基準」に関する記載がある場合は、その見直しが必要となります。例えば、「会社が定める基準に適合する者に限り再雇用する」といった規定は、2025年4月以降は法律に適合しなくなるため、変更が必要です。
次に、70歳までの就業機会確保措置に関する規定の導入も検討すべきでしょう。現時点では努力義務ですが、将来的な義務化も見据えて、先行して規定を整備しておくことをおすすめします。具体的には、就業規則に以下の内容が明記されている必要があります。
- 定年年齢
定年を何歳にするのか(60歳、65歳、70歳、あるいは廃止か) - 継続雇用制度
定年後に継続雇用制度を設ける場合、その対象年齢(65歳までか、70歳までか等)、対象者(希望者全員か、一定の基準を満たす者か)、手続き(希望申出の時期・方法)、雇用形態(嘱託社員など)、労働条件(賃金、職務内容、勤務時間、契約期間、更新の有無・基準)など - 対象者基準
65歳までの継続雇用は原則希望者全員が対象ですが、「心身の故障のため業務の遂行に堪えられない」「勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ない」など、就業規則に定める解雇事由・退職事由に該当する場合は雇用を終了させることが可能です。
70歳までの継続雇用制度において、対象者を選定するための基準を設ける場合は、その基準を具体的に定めておきましょう。 - 業務委託契約・社会貢献事業従事制度
導入する旨と制度の概要、対象者の要件、手続きなど(創業支援等措置の場合は、認定を受けた計画内容を踏まえる必要があります。)
このような内容を明記することにより、高年齢者の雇用継続に関するトラブルを未然に防ぐことができます。特に、賃金水準の設定は慎重に行う必要があり、同一労働同一賃金の原則も考慮に入れるべきです。
また、就業規則の変更に際しては、労働者の過半数を代表する労働組合または労働者代表からの意見聴取が必要です。この手続きを適切に行わないと、就業規則の効力に問題が生じる可能性があります。したがって、余裕をもったスケジュールで改定作業を進めることが肝要です。
定年・継続雇用に関する規定例
高年齢者雇用安定法に対応した就業規則の規定例をいくつかご紹介します。ただし、これらの規定例はあくまで参考であり、実際に就業規則に規定する際は、自社の状況や方針に合わせてカスタマイズする必要があります。カスタマイズに不安がある場合は、弁護士などの専門家に相談することも検討してください。
- 定年を満65歳とし、その後希望者を継続雇用する場合
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第○条(定年等) 労働者の定年は、満65歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。 2 前項の規定にかかわらず、定年後も引き続き雇用されることを希望し、解雇事由又は退職事由に該当しない労働者については、満70歳までこれを継続雇用する。 |
- 定年を満65歳とし、その後、対象基準を満たす希望者を継続雇用する場合
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第○条(定年等) 労働者の定年は、満65歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。 2 前項の規定にかかわらず、定年後も引き続き勤務することを希望し、解雇事由又は退職事由に該当しない労働者のうち、次の各号に掲げる基準のいずれにも該当する者については、満70歳までこれを継続雇用する。 (1)過去○年間の人事考課が○以上である者 (2)過去○年間の出勤率が○%以上である者 (3)過去○年間の定期健康診断の結果を産業医が判断し、業務上、支障がないと認められた者 (以下略) |
- 定年を満60歳とし、70歳までの継続雇用制度を導入する場合
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第○条(定年等) 労働者の定年は、満60歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。 2 前項の規定にかかわらず、定年後も引き続き雇用されることを希望し、解雇事由又は退職事由に該当しない労働者については、満65歳までこれを継続雇用する。 3 前項の規定に基づく継続雇用の満了後に、引き続き勤務することを希望し、解雇事由又は退職事由に該当しない労働者のうち、次の各号に掲げる基準のいずれにも該当する者については、満70歳までこれを継続雇用する。 (1)過去○年間の人事考課が○以上である者 (2)過去○年間の出勤率が○%以上である者 (3)過去○年間の定期健康診断の結果を産業医が判断し、業務上、支障がないと認められた者 (以下略) |
対象者選定基準の設定方法
2025年4月以降、65歳までの雇用については希望者全員を対象とする必要がありますが、65歳以降70歳までの雇用確保措置については、対象者を限定する基準を設けることが可能です。その基準の設定方法について解説します。
まず重要なのは、対象基準を設ける場合、過半数労働組合等の同意を得ることが望ましいという点です。これは、基準の客観性や公平性を担保するための重要なプロセスです。労使で十分に協議し、納得感のある基準を設定することが、円滑な制度運用の鍵となります。
具体的な基準としては、人事考課や出勤率が一定以上であることや、健康診断の結果を産業医が判断し業務遂行に支障がないことなどが一般的です。例えば、「直近3年間の人事評価がB以上であること」「直近1年間の出勤率が90%以上であること」「産業医による健康診断の結果、業務遂行に支障がないと判断されること」といった基準が考えられます。
ただし、注意すべき点として、これらの基準は恣意的に一部の高年齢者を排除するためのものであってはならず、法の趣旨や他の労働関係法令・公序良俗に反するものは認められません。例えば、「会社が特に必要と認めた者」といった曖昧な基準や、「男性に限る」といった性別による差別的な基準は不適切です。
また、基準を設ける場合は、その内容を就業規則等に明記し、従業員に周知することが重要です。透明性のある運用を心がけることで、制度に対する従業員の理解と信頼を得ることができます。さらに、基準に該当するか否かの判断プロセスも明確にしておくことで、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
対象者選定基準の設定にあたっては、単に人員削減や人件費抑制の観点だけでなく、高年齢者の能力や経験を最大限に活かすという視点も大切です。そのためには、職務内容や勤務形態の見直しなど、高年齢者が活躍できる環境整備とセットで考えることが望ましいでしょう。
無期転換ルールと特例制度
労働契約法第18条と高齢者雇用の関係
高年齢者の雇用を考える上で、忘れてはならないのが労働契約法第18条に規定されている「無期転換ルール」です。このルールは、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えた場合、労働者の申込みにより無期労働契約に転換できるというものです。なお、この申込みは、原則として拒否できず、期間の定めのない雇用契約に切り替えなければなりません。そのため、高年齢者の継続雇用制度と組み合わせた場合、思わぬ影響が生じる可能性があるため、注意が必要です。
具体的には、60歳の定年後に1年契約の有期雇用で再雇用し、その契約を更新し続けると、5年経過後(つまり65歳以降)に無期転換の申込権が発生します。無期転換されると、企業としては雇用終了の時期を自社で決めることが難しくなるため、70歳を超えての雇用継続が必要になる可能性も出てきます。

ただし、このルールには「有期特措法(専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法)」による特例があります。この特例を活用することで、定年(60歳以上に限る)に達した後に引き続いて雇用された高年齢者については無期転換申込権発生までの期間を延長することが可能です。しかし、この特例を適用するには、都道府県労働局の認定を受ける必要があるなど、いくつかの手続きや要件が存在します。
無期転換ルールと高年齢者雇用の関係を理解し、適切に対応することは、企業の人事管理において非常に重要な課題です。定年後再雇用の契約形態や期間などを検討する際には、無期転換ルールの影響も考慮に入れる必要があるでしょう。また、特例措置の適用も検討の際は要件や手続きについて正確に理解しておくことが肝要です。
有期特措法による特例の活用法
特例の適用を受けるためには、申請書(第二種計画認定・変更申請書)と就業規則など必要書類を添えて、本社・本店を管轄する都道府県労働局(労働基準部監督課)に提出します(事業場ごとに作成する必要はなく、本社・本店で一括して提出することになります。)。認定を受けると、対象となる高年齢者については、通常5年で発生する無期転換申込権が発生しないことになります。
なお、無期転換ルールに関する特例は、有期労働契約の締結・更新の際に適用されていることを対象労働者に明示する必要があります。そのため、就業規則にも、この特例を適用する旨を記載しておくことが望ましいです。就業規則の規定例としては、以下のようなものが考えられます。
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第○条(継続雇用者の無期転換ルールの特例) 使用者が有期雇用特別措置法に基づき、同法に定める特定有期雇用労働者に係る第2種計画について都道府県労働局の認定を受けた場合には、第2種計画の特定有期雇用労働者に該当する従業員については、定年後引き続き雇用されている期間は労働契約法第18条第1項に定める通算契約期間に算入しないものとする。 |
この特例制度を適用するための詳細な手続きについては、厚生労働省「高度専門職・継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について」に記載されています。制度を適切に活用するためには、この資料を参照しながら、自社の状況に合わせた対応を検討することをおすすめします。
特例制度の活用は、企業における高年齢者雇用管理の柔軟性を高める重要な手段となります。ただし、特例適用のための条件や手続きには細かな規定があるため、専門家のアドバイスを受けながら進めることが望ましいでしょう。
このように、有期特措法による特例を正しく理解し活用することで、高年齢者の継続雇用と企業の人事管理の両立が可能となります。
企業が抱える課題と弁護士相談のメリット
企業が高年齢者雇用安定法に対応する際には、法令遵守のみならず、実務上の細部にわたる調整や労働者との合意形成が求められるため、さまざまな課題が浮上します。経営者や人事担当者は、制度変更に伴う社内調整、労働者の評価基準の明確化、さらには法改正に対応した新たな就業規則の作成など、多岐にわたる問題に直面することになります。これらの課題に対して、企業法務・労働問題を専門とする弁護士へ相談することは、企業にとって大きなメリットとなり得ます。
実務対応で注意すべきポイント
高年齢者雇用安定法の改正に対応する際、企業が注意すべきポイントはいくつかあります。これらのポイントを見落とすと、予期せぬトラブルや法的リスクを招く可能性があるため、慎重な対応が求められます。例えば、以下のような点について注意が必要です。
- 就業規則の改定とその手続き
就業規則の変更には、労働者の過半数代表の意見聴取が必要となります。また、不利益変更となる場合は、合理性や必要性などの要件を満たす必要があるため、慎重な検討と手続きが求められます。 - 高年齢者の労働条件の設定
定年後の再雇用における賃金や労働時間、職務内容などの条件設定は、「同一労働同一賃金」の原則も考慮しつつ、適切に行う必要があります。また、賃金水準の大幅な引下げは、モチベーション低下や紛争のリスクを高める可能性があるため、バランスの取れた設計が求められます。 - 対象者選定基準の設定と運用
65歳以降70歳までの継続雇用における対象者選定基準は、恣意的な運用とならないよう、客観的かつ公平な基準を設け、透明性のある運用を心がけるべきです。基準が不明確であったり、差別的な要素を含んでいたりする場合、法的問題に発展するリスクがあります。 - 無期転換ルールへの対応
特例措置を適用する場合は、認定申請などの手続きを適切に行い、対象者への説明や同意取得も忘れないようにしましょう。手続きに不備があると、特例が認められず、予期せぬ無期転換が生じるリスクがあります。 - 高年齢者の健康管理や安全配慮義務
加齢に伴う体力や健康状態の変化に配慮した職場環境の整備や、定期的な健康チェックなどを通じて、高年齢者が安全に働ける環境を整えることも重要です。
これらの点は相互に関連しており、一体的に検討する必要があります。小手先の対応ではなく、自社の経営方針や人事戦略全体を見据えた対応が求められるのです。
弁護士をはじめとする専門家へ相談すべき状況とタイミング
高年齢者雇用安定法の改正への対応において、特に以下のような場合には、弁護士などの専門家への相談をおすすめします。
- 就業規則の大幅な改定が必要な場合
経過措置の終了に伴い、継続雇用制度の仕組みを根本から見直す必要がある企業や、70歳までの雇用確保措置を新たに導入する企業は、法的な観点から就業規則を適切に整備する必要があります。弁護士のアドバイスを受けることで、法律に適合した実効性のある規定を整備することができます。 - 労使間でのトラブルが予想される場合
例えば、従来の経過措置を利用して対象者を限定していた企業が、希望者全員の雇用に切り替える際には、労働条件の設定などをめぐって労使間で意見の相違が生じる可能性があります。このような場合、法的知識を持った専門家が間に入ることで、円滑な解決が図れることもあります。 - 無期転換ルールへの対応が複雑な場合
有期特措法による特例の適用を検討する場合、認定申請の手続きや要件の確認など、専門的な知識が必要となります。弁護士に相談することで、自社に適した対応策を見出すことができます。
まとめ
本コラムでは、2025年4月1日から完全施行される高年齢者雇用安定法のポイント、特に65歳までの雇用確保措置の完全義務化と70歳までの就業機会確保措置(努力義務)について、そして企業が取るべき具体的な実務対応を解説してまいりました。
少子高齢化が加速する現代において、経験豊富な高年齢者の活躍は、労働力不足の解消や技術承継の観点から、企業の持続的な成長に不可欠な要素となっています。今回の法改正への対応は、単なる法令遵守にとどまらず、企業の競争力強化にも繋がる重要な取り組みと言えるでしょう。
就業規則の見直し、継続雇用制度の設計、対象者基準の設定、無期転換ルールへの配慮とその特例活用など、企業が検討・実施すべき事項は多岐にわたります。これらの対応には、法的な知識だけでなく、人事労務管理全般に関する知見が求められ、多くの経営者様、人事担当者様がその複雑さに頭を悩ませていらっしゃることと存じます。
しかし、適切な準備と対応を進めることで、法的なリスクを回避し、高年齢者が意欲を持って活躍できる職場環境を構築することは十分に可能です。自社だけで対応することに不安を感じる場合や、より確実な制度設計・運用を目指したい場合には、専門家である弁護士への相談が有効な選択肢となります。
高年齢者雇用安定法への対応や、それに伴う就業規則の整備、その他労務管理でお困りの方は、初回相談料は無料になっておりますのでお気軽に当事務所までご相談ください。












