競業避止と秘密保持の法的対策【セミナー要約】
本コラムは、2025年2月18日に当事務所で開催いたしました顧問先様向けセミナー『競業避止・不正競争防止法』の講演内容を基に作成したものです。セミナー当日の講演録から文字起こしを行い、AI(人工知能)のサポートを得て要約・編集した簡易版となります。
人材流動化が進む現代社会において、「退職した従業員による顧客引き抜き」「重要技術情報の漏洩」といった事案は、企業存続に関わる深刻な経営リスクとなっています。セミナーでご紹介した実例にも、「介護事業者の従業員による顧客引き抜き」「在職中に競合会社を設立した営業担当者」「部下を連れての集団移籍」など、多くの企業が直面する可能性のある事例が含まれていました。
本稿では、セミナーで解説した内容から特に重要と思われる「競業避止義務」と「秘密保持義務」に関する法的知識と実務上の対策について概説いたします。
【顧問先様特典のご案内】
当事務所と顧問契約を締結いただいている企業様には、セミナー当日の詳細レジュメ(裁判例の判決文抜粋・具体的書式例を含む)および講演動画のアーカイブを特典として別途ご提供しております。本コラムはあくまで概要版であり、より実務に即した詳細情報や具体的な契約書・誓約書の雛形等は顧問先様限定の特典として提供しておりますので、顧問契約のご検討をぜひお願い申し上げます。
また、当事務所では顧問先様向けに定期的に各種法務セミナーを開催しております。次回セミナーのご案内はメルマガ登録いただいたお客様へお送りいたしますので、ぜひご参加をご検討ください。
1. 競業避止義務の法的構造
(1) 在職中の競業避止義務
労働契約に基づく労働者の 忠実義務・誠実義務 により、在職中の従業員は当然に競業避止義務を負います。この義務は、特別な誓約書等がなくとも、労働契約の本質から当然に導かれるものです。したがって、在職中に会社と競合する行為(競合他社での副業、競合企業設立の準備行為、同僚の引き抜き等)を行った場合、会社は損害賠償請求や懲戒処分を行うことが可能です。特に、組織的な引き抜き行為等は、計画性・悪質性が高いと評価され、懲戒解雇が有効と判断された裁判例も存在します。
(2) 退職後の競業避止義務
一方、退職後は労働契約関係が終了するため、原則として競業避止義務は消滅します。憲法で保障された 職業選択の自由 により、退職者は自由に転職・起業等を行うことができます。
しかしながら、就業規則や個別の 誓約書等による明確な合意(特約) を締結することで、一定範囲内での退職後の競業行為を制限することが可能です。ただし、単に合意があれば十分というわけではなく、その合意内容の有効性が裁判で争われた場合、以下の要素が総合的に考慮されます。
- 保護すべき企業の正当な利益の存在
営業秘密、顧客情報、技術ノウハウなど、具体的に保護対象となる利益の存在が必要です。 - 従業員の職務内容・地位
経営幹部や重要な顧客情報・技術情報に接する地位にあったか否かが考慮されます。 - 制限の合理的範囲
- 期間 – 無期限は無効とされ、1年以内が一つの目安となります。2年を超える制限は無効とされるリスクが顕著に高まります。
- 地域 – 会社の営業地域を考慮した合理的な限定が必要です。
- 職種・業務内容 – 制限する職種・業務の範囲も、従事していた業務との関連性に応じて限定が必要です。
- 代償措置の有無
競業を制限する代償として「競業避止手当」等の金銭的措置の存在は、義務の有効性を高める重要な要素です。
裁判例を見ると、ヤマダ電機事件では「同業他社への就職禁止1年間」の義務について「被告らは原告の経営幹部として重要な経営情報に接し、その権限と責任は相応に大きいものであった」「1年程度の期間は、原告の保有する営業秘密の保護等の観点からみて相当」との判断がなされ、代償措置が十分でなくとも有効と判断されました。
一方、レジェンド元従業員事件では「期間が2年と長期」「地域的限定がない」「競業避止に対する対価の支払いがない」との理由から、リンクスタッフ元従業員事件では「就業地や顧客の範囲が不相当に広範囲」「代償措置が講じられていない」との理由から、それぞれ無効とされています。
セミナーレジュメでは、これらの判例について判決文の重要箇所を引用しながら詳細に解説しております。
2. 秘密保持義務の法的構造と実務上の留意点
(1) 秘密保持義務の基本
競業避止義務と同様に、退職後の秘密保持義務についても原則として 明確な合意が必要 です。この点、多くの企業で見られる「会社の経営上・営業上・技術上の情報の一切」といった包括的な規定のみでは、紛争時に無効と判断されるリスクがあります。
(2) 裁判所の判断傾向と対応策
従来、エイシンフーズ事件のように、秘密保持義務の対象を不正競争防止法上の「営業秘密」(①秘密管理性、②有用性、③非公知性の三要件を充足)に限定する厳格な判断傾向がありました。同判決では「秘密として管理されていることが客観的に認識できる状態に置かれていなければ、営業秘密には当たらない」と判示されており、特に「秘密管理性」の要件(アクセス制限、秘密表示等)の充足は中小企業にとって容易ではありません。
しかし近時は、就業規則や雇用契約上の秘密保持義務の対象となる秘密は、必ずしも不正競争防止法上の「営業秘密」と同一である必要はないとする裁判例も見られます。セミナーでは、最新の裁判例についても詳細な解説を行いました。
有効性を高めるためには、秘密保持契約書において 保護対象となる秘密を具体的に特定・明記 することが重要です。ダイオーズ社事件では、「顧客の名簿及び取引内容に関わる事項」「製品の製造過程、価格等に関わる事項」等の具体的記載が、判決文にて「秘密として保持すべき情報が明確に特定されている」と評価され、義務の有効性を基礎づける一因となりました。
3. 法的リスク低減のための具体的対策
(1) 契約書面の整備
- 入社時および退職時における競業避止・秘密保持に関する 誓約書の適切な取得
- 現行の誓約書の 法的有効性の検証と必要に応じた見直し
- 期間・地域・業務内容の限定、代償措置の設定、秘密保持対象の具体化、違約金条項の設定等、有効性を高める条項の検討
(2) 情報管理体制の構築
- 情報管理規程の策定と周知徹底
- 秘密情報へのアクセス権限管理と「社外秘」「マル秘」等の表示(秘密管理性の確保)
- 記録媒体の使用制限や持出管理の徹底
(3) モニタリングと証拠保全
- 従業員の不審行動(競業準備行為、情報への不自然なアクセス等)への注視
- PCアクセスログ、メール送受信記録、証言等、証拠となり得る資料の保全
4. 結語—企業価値の保全のために
人材流動化と働き方の多様化が進む現代において、競業行為や情報漏洩のリスクは一層高まっています。これらは企業の信用や競争力を根本から揺るがしかねない重大な経営リスクです。
「事後的に対応すれば足りる」という考えは現代では通用せず、特に退職後の義務を有効に課すためには、事前の適切な法的準備が不可欠です。貴社の企業価値を守るために、改めて社内体制や契約書の見直しをご検討いただければ幸いです。
【顧問先様向けサービスのご案内】
当事務所では、本コラムで紹介した法的論点について、最新の法改正・裁判例を踏まえた実効性のある対策をご提案しております。具体的な誓約書の作成・見直しや従業員トラブルに関するご相談など、顧問先様には優先的に対応させていただいております。
また、今後も定期的に顧問先様向けの実務セミナーを開催予定です。次回セミナーは決定次第、メールマガジンで配信しますので、ぜひ配信登録のうえ、案内をお待ちください。
※重要※
本コラムは、セミナー内容のAIによる要約・抜粋版です。より詳細な情報や個別のご相談については、顧問契約をご検討いただくか、お気軽に当事務所までお問い合わせください。












