介護福祉施設の悪質口コミ削除方法|弁護士解説

文責:弁護士 野上 晶平

高齢化社会が進行する日本において、介護福祉施設(※1)は社会インフラとして不可欠な存在となっています。しかし、その重要性が高まるにつれて、インターネット上に投稿される口コミが施設の経営に与える影響も無視できないものとなりました。特に、事実無根の誹謗中傷や悪質な口コミは、施設の評判を著しく低下させ、最悪の場合、経営の存続すら危うくする深刻なリスクをはらんでいます。

 

本コラムは、介護福祉施設を経営・運営される皆様へ向け、悪質な口コミがもたらす具体的なリスクを解説するとともに、それらを法的に、かつ迅速に削除するための具体的な方法、そして弁護士に相談すべき理由について、企業法務を専門とする弁護士の視点から詳細に解説いたします。

 

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本コラムでは、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、介護保険法や老人福祉法に基づき運営される各種施設・事業所を総称して「介護福祉施設」と表記します。

介護福祉施設で経営者を悩ませる口コミとは

介護福祉施設を運営する経営者にとって、インターネット上の口コミは大きな影響力を持つ情報源となっています。しかし、その口コミの中には、施設運営に深刻な影響を与えるものも少なくありません。まずは、実際にどのような口コミが投稿されているのか、その実態を把握することが重要です。口コミには大きく分けて、施設運営・設備に関するもの、職員の対応に関するもの、そして事実無根の誹謗中傷といった悪質なものが存在します。

施設運営・設備に関する口コミ

施設運営や設備に関する口コミは、利用者やその家族が実際に体験した内容を基に投稿されるケースが多く見られます。たとえば、「共用スペースの清掃が行き届いていない」「居室の設備が古く、快適に過ごせない」「提供される食事が質素で冷めている」といった内容です。また、「入浴の回数が少ない」「リハビリの時間が短い」など、サービス内容に関する不満も投稿されます。

これらの口コミの中には、施設の改善点を指摘する建設的な内容も含まれています。しかしながら、表現方法によっては施設の評判を大きく損なう可能性があります。さらに、一部の事実を誇張して書かれたり、利用者の主観的な感想が客観的事実のように記載されたりすることもあります。こうした口コミは、施設選びをする人々に誤った印象を与えかねません。

経営者としては、正当な批判と不当な誹謗中傷を見極め、適切に対応することが求められます。そのため、日頃から施設の運営状況を確認し、改善すべき点は速やかに対処する姿勢が必要です。

職員の対応に関する口コミ

職員の対応に関する口コミも、介護福祉施設では頻繁に見られます。介護サービスは人と人との関わりが中心となるため、職員の態度や言葉遣い、対応の丁寧さなどが利用者やその家族の満足度に直結します。

具体的には、「職員の言葉遣いが乱暴だった」「コールボタンを押してもなかなか来てくれない」「家族への説明が不十分で不安になった」といった内容が投稿されることがあります。また、「特定の職員だけが親切で、他の職員は冷たい」など、職員間のサービス品質のばらつきを指摘する口コミも存在します。

介護の現場は人手不足が深刻であり、職員一人ひとりの負担が大きくなっているのが現状です。そのため、職員が疲弊し、結果として利用者への対応が十分にできないケースも生じています。しかし、そうした事情を知らない利用者側からは、単に「対応が悪い施設」として評価されてしまいます。

このような職員の対応に関する口コミは、既存の職員の士気を低下させ、離職の原因となる可能性もある、施設の運営を大きく左右するものといえるでしょう。

事実無根の誹謗中傷・悪質な口コミ

最も深刻なのが、事実無根の誹謗中傷や悪質な口コミです。これらは、実際には起こっていない出来事をあたかも事実のように記載したり、施設や職員を貶めるために意図的に投稿されたりするものです。

たとえば、「この施設では虐待が行われている」「職員が利用者のお金を盗んだ」「食事に異物が混入していた」といった、重大な問題を示唆する内容が根拠なく書き込まれることがあります。また、施設と何らかのトラブルがあった利用者の家族が、恨みから感情的な口コミを投稿するケースも見られます。

さらに近年では、競合する他の介護施設や悪意のある第三者が、営業妨害を目的として虚偽の口コミを投稿する事例も報告されています。こうした悪質な口コミは、施設の信頼性を著しく損ない、経営に深刻な打撃を与えます。

事実無根の誹謗中傷は、名誉毀損や業務妨害に該当する可能性があり、法的措置の対象となります。経営者としては、このような悪質な口コミを発見した場合、速やかに適切な対応を取ることが重要です。

介護福祉施設の口コミが重要視される理由

かつて、介護施設の情報は、地域のケアマネジャーや行政の窓口を通じて得ることが一般的でした。しかし、最近では、介護福祉施設を選ぶ際、口コミが重要な判断材料となっています。その背景には、いくつかの社会的要因があります。ここでは、なぜ口コミがこれほどまでに重要視されるようになったのか、その理由を詳しく解説します。

高齢化社会における介護施設の増加

日本は世界でも有数の高齢化社会を迎えており、それに伴い介護福祉施設の需要も急速に拡大しています。e-Statで公表されている「令和5年社会福祉施設等調査」によれば、有料老人ホームの数は2016年時点で12,570施設(サービス付き高齢者向け住宅以外)と4,839施設(サービス付き高齢者向け住宅であるもの)でしたが、2023年には17,833施設と6,381施設にまで増加しており、今後も増加傾向は続くと思われます。なお、この調査結果だけ見ると、特別養護老人ホームなどの老人福祉施設については、施設数がやや減少傾向にある年も見られます。これは需要が減ったためではなく、地域密着型施設への移行や、居住系サービスの多様化による再編が進んでいるためと考えられます。

 

施設の数が増えたことで、利用者やその家族には選択肢が増えた一方、どの施設を選べばよいのか判断が難しくなっています。このような状況下では、限られた選択肢の中から最適な施設を見つけるために、実際の利用者の声である口コミが非常に重要な情報源となります。そのため、施設を運営する経営者にとって、口コミ管理は事業の成否を左右する重要な課題となっているのです。

施設選びにおける口コミの影響力

介護施設を選ぶ際、多くの人が口コミを参考にしています。これは、介護サービスの質が数字やパンフレットだけでは判断しにくいためです。施設のホームページには設備や料金、サービス内容などの基本情報は掲載されていますが、実際の雰囲気や職員の対応、日常生活の様子などは、実際に利用した人の声を聞かなければわかりません。

従来は施設見学という方法が一般的でしたが、見学時は施設側も準備を整えているため、普段の様子を完全に把握することは困難です。また、見学は一時的なものであり、日常的なサービスの質まではわかりません。そのため、入居後に「思っていたのと違う」と後悔するケースも少なくありませんでした。

一方、口コミサイトには、実際に施設を利用した人やその家族のリアルな声が掲載されています。良い点だけでなく、悪い点や改善してほしい点なども率直に書かれているため、より実態に近い情報を得ることができます。こうした理由から、施設選びにおける口コミの影響力は年々増大しており、口コミの内容が入居の決定を左右する重要な要素となっています。

口コミサイトの普及と情報収集の変化

インターネットの普及により、誰でも簡単に情報を発信・収集できる時代になりました。特に、口コミサイトの登場は、消費者の情報収集方法を大きく変化させました。介護福祉施設の分野においても、「介護のほんね」「老人ホームマップ」「みんなの介護」といった専門のポータルサイト(口コミサイト)が運営されており、全国の施設に関する口コミを閲覧することができます。これらのサイトでは、施設名や地域で検索するだけで、実際に利用した人の評価やコメントを簡単に見ることができます。また、評価は星の数や点数で表示されることが多く、一目で施設の評判を把握することが可能です。さらに、複数の口コミを比較することで、施設の強みや弱みを総合的に判断できます。

 

特に注目すべきは、Googleマップの影響力です。施設名で検索すると、専門サイトと並んでGoogleマップの情報が検索結果の上位に表示されることが多く、利用者は地図上で施設の位置を確認しながら口コミを閲覧できます。Googleマップは誰でも気軽に口コミを投稿できる仕組みであり、専門サイトよりも口コミ数が多い場合もあります。また、Googleアカウントを持つ多くのユーザーが利用しているため、その影響力は無視できません。

 

施設への入居を検討する際、実際に施設を探すのは利用者本人ではなく、その息子・娘世代であることが多いのが現状です。この世代は40代から60代が中心で、インターネットを日常的に使用する世代であり、スマートフォンやパソコンで情報収集を行うことが一般的です。そのため、施設を探す際にも、まずインターネットで検索し、口コミサイトをチェックするという行動パターンが定着しています。

 

このように、口コミサイトの普及により、情報の透明性が高まった一方で、ネガティブな口コミが拡散しやすくなったというリスクも生じています。経営者は、こうした情報環境の変化を理解し、適切な対応を取ることが求められます。

悪質な口コミを放置してはいけない理由

悪質な口コミを発見した際、「時間が経てば忘れられるだろう」「反論すると逆効果になるのではないか」と考え、放置してしまう経営者も少なくありません。しかし、悪質な口コミを放置することは、施設運営にとって重大なリスクをもたらします。ここでは、その具体的な理由について解説します。

施設の評判低下と入居者減少

悪質な口コミが放置されると、それを見た人々は施設に対して否定的な印象を持ちます。特に、虐待や不衛生な環境、職員の態度の悪さなど、介護施設として致命的な問題を指摘する内容であれば、多くの人が「この施設だけは避けよう」と判断するでしょう。

口コミサイトでは、複数の口コミを総合して施設の評価が点数化されることがあります。悪質な口コミが複数投稿されると、全体の評価が下がり、検索結果でも上位に表示されにくくなります。その結果、新規の入居希望者が減少し、経営状況が悪化する可能性があります。

また、介護施設は地域に密着したビジネスであるため、地域住民の間で悪い評判が広まると、口コミサイト以外でも風評被害が拡大します。近隣住民同士の会話やSNSでの情報共有により、「あの施設は評判が悪い」という情報が広がり、施設の信頼性が大きく損なわれてしまいます。

さらに深刻なのは、一度失った信頼を回復するには、非常に長い時間と多大な努力が必要になることです。したがって、悪質な口コミは早期に発見し、適切に対処することが不可欠です。

既存利用者・家族への悪影響

悪質な口コミは、新規の入居希望者だけでなく、既に施設を利用している入居者やその家族にも悪影響を及ぼします。家族がインターネットで施設名を検索した際に悪質な口コミを見つけると、「本当にこの施設に預けて大丈夫なのだろうか」「見学のときは親切だったけど、裏では違う顔があるのではないか」という不安を抱くことになります。

特に、虐待や事故の隠蔽といった重大な問題を示唆する口コミが投稿されていた場合、家族は施設に対して不信感を持ち、退所を検討する可能性もあります。また、施設側への問い合わせや苦情が増加し、対応に追われる可能性もあります。

信頼関係の構築が重要な介護の現場において、悪質な口コミによって既存利用者や家族との関係が悪化することは、避けなければなりません。そのため、悪質な口コミを発見した際は、速やかに削除を求めるとともに、既存利用者や家族に対して適切な説明を行うことが重要です。

職員の採用・定着率への影響

悪質な口コミは、施設で働く職員の採用や定着率にも深刻な影響を与えます。介護業界は慢性的な人手不足に悩まされており、優秀な人材の確保は施設運営の重要な課題です。しかし、施設の評判が悪いと、求職者は「この施設では働きたくない」と感じ、応募を避ける傾向があります。

特に、若い世代の求職者は、就職先を選ぶ際にインターネットで企業や施設の評判を調べることが一般的です。その際に悪質な口コミが多数見つかれば、たとえ給与や待遇が良くても、応募を躊躇するでしょう。その結果、採用活動が難航し、人手不足がさらに深刻化する悪循環に陥る可能性があります。

また、既に働いている職員も、自分の職場に対する悪質な口コミを目にすることで、モチベーションが低下することがあります。事実無根の誹謗中傷が放置されている状況では、「この施設は自分たちの名誉を守ってくれない」と感じ、離職を考える職員も出てくるかもしれません。

職員の離職率が高まると、サービスの質が低下し、それがさらなる悪い口コミを生むという負のスパイラルに陥ります。したがって、悪質な口コミへの対応は、職員を守り、働きやすい環境を維持するためにも必要不可欠です。

介護福祉施設の悪質口コミを削除する方法

悪質な口コミを発見した場合、適切な手続きを踏むことで削除を求めることができます。ここでは、具体的な削除方法について、段階を追って解説します。

口コミサイト運営者への削除依頼

最初に試みるべき方法は、口コミサイトの運営者に対して直接削除を依頼することです。多くの口コミサイトは、独自のガイドラインやコミュニティルールを設けており、それに違反する投稿については削除対応を行っています。

たとえば、「介護のほんね」では、ガイドラインに違反する口コミについて、「運営側の判断により、修正のお願いや投稿の削除」する場合があると明記しています。違反となる投稿の例としては、虚偽の内容、個人情報、誹謗中傷や差別的な表現などが挙げられます。

削除を依頼する際は、まず該当する口コミがガイドラインのどの項目に違反しているのかを明確にする必要があります。そのうえで、サイト内の問い合わせフォームや削除依頼フォームから、具体的な理由(例:「◯◯」という口コミは貴社(サイト名)の、利用規約第◇条の『虚偽情報の投稿の禁止』に明確に違反している)を添えて依頼を行います。この際、感情的な文章ではなく、客観的な事実に基づいた冷静な文章で依頼することが重要です。

ただし、サイト運営者が削除に応じるかどうかは、あくまで運営側の判断に委ねられます。すべての依頼が受け入れられるわけではなく、「口コミは利用者の主観的な意見であり、削除には応じられない」と判断されることもあります。そのため、この方法で削除できない場合は、次の法的手段を検討する必要があります。

 

Google口コミの削除請求はコラム:「Googleに悪質な口コミを書かれた!削除の方法を弁護士が解説」をで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

裁判所への名誉毀損による削除請求と仮処分

口コミサイト運営者への削除依頼で対応してもらえなかった場合、裁判所に対して法的な削除請求を行うことができます。この際に主張する法的根拠として最も一般的なのが、名誉毀損です。

名誉毀損が成立するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。公然と(不特定多数の人が閲覧できる状態で投稿されていること)、事実を摘示し(具体的な事実が記載されていること)、(団体)の名誉を毀損する(社会的評価を低下させる)内容であることです。

インターネット上の口コミは不特定多数が閲覧できるため、「公然と」の要件は満たされます。また、「この施設で虐待が行われている」「職員が利用者のお金を盗んだ」といった真実か否かを検証できる具体的な事実を記載した投稿は、「事実を摘示し」の要件を満たします。さらに、こうした内容は施設の社会的評価を著しく低下させるため、名誉毀損に該当する可能性が高いといえます。

ただし、口コミには「表現の自由」という権利も関わってくるため、単に事実を記載しただけでは削除が認められないケースもあります。たとえば、その事実が公共の利害に関わる事項であり、公益を図る目的で投稿され、かつ内容が真実である場合は、違法性が阻却されることがあります。こうした法的判断は専門的な知識を要するため、弁護士に相談することが不可欠です。

また、通常の裁判手続きでは判決が出るまでに長期間を要するため、その間に風評被害が拡大する恐れがあります。そこで有効なのが、仮処分という手続きです。仮処分は、正式な裁判の前に暫定的な措置を求めるもので、比較的短期間で決定が下されます。

仮処分の申立てを行うと、裁判所は双方の主張を聞いたうえで、削除の必要性が認められれば仮処分命令を発令します。命令が出されれば、口コミサイト運営者はそれに従って投稿を削除することになります。裁判所からの命令であるため、サイト側も削除に応じる例がほとんどです。

投稿者の特定(発信者情報開示命令申立)と損害賠償請求

悪質な口コミを削除するだけでなく、投稿者を特定して損害賠償を請求したい場合もあるでしょう。特に、事実無根の誹謗中傷によって施設の評判が著しく損なわれ、経済的損失が発生した場合、投稿者に対して賠償を求めることができます。

投稿者を特定するためには、裁判所に対して、発信者情報開示命令申立という手続きを行います。まず、口コミサイトの運営者(コンテンツプロバイダ(※2))に対して、投稿に使用されたIPアドレス(※3)やタイムスタンプなどの情報開示を請求します。

なお、口コミサイトの場合、投稿にアカウント登録が必要な場合も多く、場合によっては電話番号なども開示されることがあります。弁護士であれば、弁護士会照会(弁護士法第23条の2)を用いて電話番号キャリア(NTTKDDI、ソフトバンクなど)に対して契約者情報の開示を求めることができるため、次のアクセスプロバイダへの開示請求は不要になります。

 

コンテンツプロバイダから開示された情報をもとに、「whois検索」などのサービスを利用して、投稿に使用されたアクセスプロバイダを特定します。次に、そのアクセスプロバイダに対して、契約者情報(氏名、住所など)の開示を請求します(※4)。

 

投稿者が特定できれば、その人物に対して損害賠償請求を行うことができます。請求できる損害の範囲には、施設の評判低下による経済的損失、精神的苦痛に対する慰謝料、弁護士費用などが含まれます。

ただし、発信者情報開示請求は、削除請求と比べて手続きが複雑であり、時間もかかります。また、プロバイダがログを保存している期間には限りがあるため、迅速な対応が求められます。こうした手続きを適切に進めるためには、法的知識と経験を持つ弁護士のサポートが不可欠です。

 

※2:プロバイダ

プロバイダとは、インターネット上でサービスを提供する事業者の総称で、コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダの2種類に大別されます。

  • コンテンツプロバイダ(CP
    Google
    マップやX(旧Twitter)など、ウェブサイトや掲示板、SNSなどのコンテンツ(情報)を提供する事業者です。投稿がどのIPアドレスから行われたかなどの情報を保有しています。
  • アクセスプロバイダ(AP
    NTT
    KDDI、ソフトバンクなどのように、インターネット接続サービスを提供する事業者です。IPアドレスを使用していた契約者の氏名や住所などの情報を保有しています。

 

※3IPアドレス

インターネット上の住所のようなもので、ネットワークに接続された機器(パソコンやスマートフォンなど)を識別するための番号です。

 

※4:コンテンツプロバイダへの開示請求について

2022年の法改正で、発信者の情報開示を求める際に、コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダの2つの事業者に同時に手続きを進めることができる提供命令が新設されましたが、コンテンツプロバイダ側(特に海外サイトの場合)の整備が追いついていない場合もあり、情報提供に時間がかかったり、上述の電話番号の開示が後回しになったり、ログデータの保存が後回しになったりとデメリットもあるので状況に合わせて手段を選択する必要があります。

口コミ対策を弁護士に相談すべき理由

悪質な口コミへの対応は、法的な知識と経験が求められる専門的な分野です。ここでは、なぜ弁護士に相談すべきなのか、その理由を詳しく解説します。

法的判断の専門性

悪質な口コミを削除するためには、その口コミが法的に問題があるかどうかを正確に判断する必要があります。

 

たとえば、名誉毀損が成立するかどうかは、前述の3要件を満たしているかどうかだけでなく、違法性阻却事由の有無も検討しなければなりません。口コミの内容が事実であっても、それが公共の利害に関わり、公益を図る目的で投稿された場合は、削除が認められないことがあります。一方、事実無根の誹謗中傷であれば、名誉毀損だけでなく、業務妨害罪に該当する可能性もあります。こうした法的判断は、専門知識がなければ困難です。

また、口コミの表現が単なる「感想」なのか、それとも「事実の摘示」なのかという区別も重要です。たとえば、「職員の態度が悪い」という表現は主観的な感想であり、削除が難しい場合があります。しかし、「職員が利用者を叩いているのを見た」という表現は具体的な事実の摘示であり、虚偽であれば名誉毀損に該当します。

 

こうした微妙な法的判断を誤ると、削除請求が認められないこともあります。したがって、弁護士に相談し、法的に適切な対応を取ることが重要です。

ネット誹謗中傷に注力している弁護士であれば、口コミの内容を精査し、削除請求が認められる可能性を判断したうえで、最適な方法を提案することが可能です。また、裁判所への申立書類の作成や、法的主張の組み立ても、専門的な知識に基づいて行うことができます。

削除請求から投稿者特定・損害賠償請求までの一貫したサポート

悪質な口コミへの対応は、削除請求だけで終わらないケースも多くあります。特に、事実無根の誹謗中傷によって重大な被害を受けた場合、投稿者を特定して損害賠償を請求したいと考えるのは当然です。しかし、こうした一連の手続きは複雑であり、段階ごとに異なる法的手続きが必要となります。

弁護士に依頼すれば、最初の削除請求から、発信者情報開示請求、そして損害賠償請求まで、一貫したサポートを受けることができます。

また、発信者情報開示請求では、プロバイダがログを保存している期間が限られているため、タイミングが重要です。弁護士であれば、こうした時間的制約を理解したうえで、適切なスケジュールで手続きを進めることができます。

さらに、損害賠償請求では、被害の程度を立証するための証拠収集も必要です。たとえば、悪質な口コミが投稿された後に入居者数が減少した場合、その因果関係を示すデータを準備する必要があります。弁護士は、こうした証拠の収集や整理についてもアドバイスを行います。

このように、弁護士に依頼することで、個別の手続きをバラバラに進めるのではなく、全体を見据えた戦略的な対応が可能になります。その結果、より確実に問題を解決し、施設の名誉を回復することができるのです。

悪質口コミの再発防止に向けた体制構築のサポート

悪質な口コミへの対応は、一度削除すれば終わりというものではありません。同じ投稿者や別の悪意ある第三者によって、再び誹謗中傷が投稿される可能性もあります。したがって、再発防止に向けた体制を構築することが重要です。

弁護士は、単に個別の口コミ削除をサポートするだけでなく、施設の口コミ管理体制の構築についてもアドバイスを行います。たとえば、定期的に口コミサイトをモニタリングし、悪質な投稿を早期に発見する仕組みを整えることが有効です。また、発見した口コミに対して、どのような基準で対応すべきかという判断基準を明確にしておくことも重要です。

さらに、利用者や家族とのコミュニケーションを強化し、誤解やトラブルが生じた際に迅速に対応できる体制を整えることも、悪質な口コミの予防につながります。弁護士は、こうした予防的な取り組みについても、法的な観点からアドバイスを提供します。

また、万が一再び悪質な口コミが投稿された場合に備えて、対応マニュアルを作成しておくことも有効です。弁護士と連携して、どのような手順で削除請求を行うか、誰が対応するかなどを事前に決めておけば、迅速かつ適切な対応が可能になります。

このように、弁護士は単発の問題解決だけでなく、施設の長期的な信頼性向上に向けたサポートも行います。したがって、悪質な口コミに悩む経営者は、ぜひ専門の弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

高齢化社会の進展に伴い、介護福祉施設の需要が拡大する一方で、インターネット上の口コミが施設の評判や経営に与える影響は無視できないものとなっています。特に、事実無根の誹謗中傷や悪質な口コミは、新規入居者の減少、既存利用者との信頼関係の悪化、職員の採用難・離職率の上昇といった深刻な問題を引き起こします。

悪質な口コミへの対応は、時間との戦いです。放置すれば被害は拡大し続け、一度失った信頼を取り戻すには多大な時間と労力を要します。したがって、早期発見と迅速な対応が不可欠です。

こうした悪質な口コミに対しては、サイト運営者への任意の削除依頼 だけでなく、名誉毀損を根拠とした裁判所への「仮処分」申立てや、悪質な投稿者を特定する「発信者情報開示請求」といった法的手続きが有効です。

しかし、削除が認められるかの法的判断は専門的であり、投稿者を特定する手続きは複雑で、時間との勝負でもあります。

弁護士にご依頼いただければ、法的な観点から削除の可能性を迅速に判断し、削除請求から投稿者の特定、損害賠償請求まで一貫してサポートすることが可能です。

また、単発の対応だけでなく、再発防止に向けた体制構築も重要です。定期的なモニタリング体制の整備、対応マニュアルの作成、利用者・家族とのコミュニケーション強化など、予防的な取り組みを進めることで、悪質な口コミのリスクを最小限に抑えることができます。

 

介護福祉施設の悪質な口コミ対応や風評被害対策でお困りの方は、初回相談料は無料になっておりますのでお気軽に当事務所までご相談ください。

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