歯科医院口コミ対策|「不要で高額な詰め物を入れられた」

文責:弁護士 野上 晶平

歯科医院にとって口コミは、新規患者の来院や既存患者の信頼に大きな影響を与える重要な情報源です。ところが中には「不要で高額な詰め物を入れられた」といった強い不満が書き込まれることもあり、医院経営に深刻な打撃となる場合があります。このような具体的な口コミは、誤解や事実と異なる表現が含まれている可能性もあり、対応を誤ると長期的な風評被害につながりかねません。そこでまずは、歯科医院に寄せられやすい口コミの特徴から整理してみましょう。

歯科医院でよくある口コミとその特徴

近年、歯科医院の経営において、新規の患者様に来院いただくための重要なツールとしてGoogleマップをはじめとするインターネット上の口コミは無視できない存在となっています。しかし、その一方で、心ない書き込みや事実誤認に基づく悪評に頭を悩ませている経営者様は少なくありません。特に歯科医院では、治療という専門的な領域を扱うため、患者様との間に認識の齟齬が生まれやすく、それがネガティブな口コミに繋がりがちです。まずは、具体的にどのような口コミが書かれやすいのか、その特徴を見ていきましょう。

治療費用に関する不満

歯科治療における費用に関する口コミは、最も多く見られる不満の一つです。特に、「予想以上に高額な請求をされた」「保険適用外の治療を勧められた」といった内容が目立ちます。また、セラミックの詰め物やインプラントなどの自由診療においては、その金額も大きくなるため、「不要な高い詰め物を入れられた」「必要のない治療まで提案された」といった投稿をされやすい傾向にあります。これらの口コミは、患者と医院側との間で治療内容や費用に関する認識のズレが生じた結果として発生するケースが多いのが実情です。さらに、治療後に他院でセカンドオピニオンを受けた患者が、前院の治療方針に疑問を持って投稿するパターンも増加傾向にあります。

接客態度や説明不足への批判

治療技術そのものだけでなく、医師やスタッフの対応に関する批判も、歯科医院の口コミでは頻繁に見受けられます。例えば、「受付スタッフの態度が悪い」「医師が高圧的で質問しづらかった」「治療内容の説明が不十分で不安になった」といった内容です。これらの口コミは、医院の技術力とは無関係であるにも関わらず、潜在的な患者に与える印象は決して軽くありません。また、医院側に悪意がなくても誤解から発生することも多く、注意が必要です。

「不要な高い詰め物を入れられた」などの口コミが及ぼす影響

数あるネガティブな口コミの中でも、「不要な高い詰め物を入れられた」「無理やり自由診療を勧められた」といった書き込みは、歯科医院の信頼を根底から揺るがしかねない、非常に危険なものです。単なる「治療が痛かった」「待ち時間が長かった」というレベルの不満とは異なり、医院側が利益のために患者の不利益になる行為を意図的に行った、という印象を第三者に与えてしまうからです。このような悪評が一つ存在するだけで、医院経営に深刻なダメージが及ぶ可能性があります。

新規患者の減少と既存患者の離脱

2020年にサイジニア株式会社が行った調査によると、病院・クリニックを選ぶ際の判断基準(複数回答可)について、「クチコミでの評判」と回答した方の割合は52.5%となっており、2人に1人は口コミを判断基準にしているという結果が出ています。そこに「不要な高い詰め物を入れられた」といった否定的な口コミを見ると、「この医院は避けよう」と考える人が増えるのは自然な流れです。また、既に通っている患者様も「自分も同じ扱いをされるのでは」と不安を抱き、他院に移ってしまうこともあります。

従業員のモチベーション低下や採用活動への悪影響

口コミの影響は患者だけでなく、医院で働く従業員にも及びます。スタッフが自分の勤務先について否定的な口コミを目にすると、職場への愛着や誇りが削がれ、モチベーションの低下につながることがあります。さらに、職場の雰囲気が悪化すれば、医療サービスの質の低下や、離職者の増加にも繋がりかねません。また、求職者の中には事前に勤務先候補の口コミをチェックする人も多く、悪い評判があると新しい人材を採用する際にも支障をきたす場合があります。

「不要な高い詰め物を入れられた」という口コミは削除できるのか?

結論から言えば、状況によっては削除できるケースがあります。ただし、すべてが削除対象になるわけではありません。口コミの投稿には「表現の自由」という憲法で保障された権利が関係するため、「どこまでが患者の意見か」「どこからが医院の名誉や信頼を不当に傷つける攻撃か」という線引きが重要になります。

削除が認められやすい口コミの条件

口コミの削除が認められやすいのは、明らかに事実と異なる内容や、誹謗中傷に該当する表現が含まれている場合です。具体的には、「実際には受けていない治療について書かれている」「医院名や医師の実名を挙げて人格攻撃をしている」「根拠のない憶測で営業妨害となる内容を記載している」といったケースが該当します。また、プライバシー侵害に当たる内容や、他の患者の個人情報が含まれている口コミについても削除対象となる可能性が高いといえます。しかし、これらの条件に該当するかどうかの判断は専門的な法的知識を要するため、弁護士へ相談することをおすすめします。

「意見・論評」と「事実の摘示」の境界線

口コミ削除を検討する上で重要なポイントは、その投稿内容が「意見・論評」に該当するか、「事実の摘示」に該当するかという区別です。簡単に説明すると、「事実の摘示」とは、証拠によって本当か嘘かを客観的に判断できる事柄を、「意見・論評」とは、投稿者の主観的な感想や評価のことを言います。たとえば、「ここの治療費は高い」という表現は、投稿者が主観的にそう感じたという「意見・論評」であり、これだけでは削除は困難です。一方で、「保険適用だと説明されたのに、10万円の自由診療費を請求された」といった具体的な事実を述べている場合は「事実の摘示」として扱われ、その内容が真実でなければ削除削除が認められる可能性が出てきます。ただし、この境界線の判断は非常に微妙であり、「不要な高い詰め物を入れられた」という問題のある表現の前後の文脈を見るなど、個別のケースごとに慎重な検討が必要となるのが実情です。

口コミを削除するための2つのアプローチ

実際に口コミの削除を進める場合、主に2つの方法があります。まずは比較的簡易な方法から始め、それが功を奏しない場合に、より強力な法的措置へと移行していくのが一般的ですが、状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。

① 各プラットフォームに直接削除を申請する

最も手軽で、最初に行うべきなのが、プラットフォームの運営者(GoogleEPARK歯科、Calooなど)に対して直接削除を要請する方法です。たとえば、Googleは独自のコミュニティガイドラインを設けており、これに違反する口コミについては削除対応を行っています。この方法は、比較的簡単に申請できますが、削除されるかどうかはプラットフォームの運営者の判断次第になるため、必ずしも期待どおりの結果になるとは限りません。

Googleへの削除申請】

【病院・歯医者・クリニック向け】悪質なGoogle口コミの削除・発信者情報開示請求」で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

 

EPARK歯科への削除申請】

EPARK歯科へ削除申請をするには、まずEPARK歯科へログインする必要があります。ログイン後、口コミの右下にある「問題のある口コミを報告」を選択し、削除申請フォームに問題があると思った理由を記入し申請します。

 

Calooへの削除申請】

口コミご相談フォームから削除申請を行います。フォームに口コミのURL・タイトル・投稿者名・口コミの中で問題となる部分を入力する必要があるので、削除したい口コミのタイトルを選択することで口コミのみのURLhttps://caloo.jp/hospitals/detail/【病院の管理番号】/reviews/【口コミの管理番号】)へアクセスできるので、事前に確認しておきましょう。また、他のプラットフォーム運営者と同じく、削除の対象となる具体的な根拠も記入する必要があり、根拠が示されない場合には受付されないので注意してください。

② 裁判所を通じた削除仮処分命令の申立て

プラットフォームの運営者への直接申請で削除が認められなかった場合、次に検討するのが裁判所を利用した法的手続き(削除仮処分命令の申立て)です。この手続きでは、口コミの内容が名誉毀損や営業妨害に該当することを法的に証明し、裁判所からプラットフォームの運営者に対して削除命令を出してもらいます。申立てが認められれば、プラットフォームの運営者は法的義務として削除に応じなければならないため、確実に削除されます。仮処分は、通常の訴訟に比べて迅速に(多くは13ヶ月程度で)結論が出るというメリットがあります。この申立てが認められるためには、なぜその口コミが医院の権利を侵害しているのかを、証拠に基づいて法的に主張する必要があるため、弁護士などの専門家に対応を依頼することが一般的で相応の費用が必要になります。

口コミトラブルを未然に防ぐために歯科医院が今すぐできること

口コミ問題の最も効果的な対策は、問題が発生する前の予防策です。日々の診療において以下の点に注意することで、否定的な口コミの発生リスクを大幅に減らすことができます。

① 治療内容に関する丁寧な説明と同意(インフォームド・コンセント)の徹底

「不要な高い詰め物を入れられた」といった口コミの多くは、患者が治療の必要性や費用について十分な説明を受けていないと感じることから発生します。そのため、治療前には必ず患者様に対して、なぜその治療が必要なのか、どのような選択肢があるのか、それぞれの費用はどの程度なのかを丁寧に説明することが重要です。特に保険適用外の治療を提案する際は、保険診療との違いやメリット・デメリットを分かりやすく伝え、患者様が納得した上で治療を開始することが不可欠です。また、説明内容を文書で残しておくことで、後日のトラブル防止にも役立ちます。

② 患者満足度を高める院内環境と接客態度の改善

技術面だけでなく、患者様の体験全体を向上させることが口コミ対策の重要なポイントです。受付スタッフの丁寧な対応、清潔で快適な待合室環境、プライバシーに配慮した診療室作りなど、患者様の立場に立った改善を継続的に行うことが大切です。また、治療中の痛みへの配慮や、患者様の不安を和らげるコミュニケーションも忘れてはいけません。これらの取り組みにより、たとえ治療費が高額であっても「それに見合う価値がある」と患者様に感じていただけるようになり、結果として良い口コミの獲得につながります。

口コミ問題解決のための弁護士活用メリット

法的根拠に基づいた削除請求

前述したように、削除請求が認められるには法的要件を満たす必要があります。弁護士を活用することで、どのような法的根拠で削除請求を行うのが最も効果的か、証拠として何が必要かなど、専門家でなければ判断が難しい部分の検討が行えます。また、裁判所への仮処分申立てが必要な場合は、法的要件を満たした適切な書面の作成から手続きの進行まで対応できます。弁護士がすべてのプロセスを代理人として遂行することで、削除請求の成功率を向上させ、経営者様が本来の業務に集中できるようになります。

投稿者との交渉代行

今回は削除の方法をメインにお話しましたが、口コミによって実害が発生している場合は、発信者情報開示請求をして投稿者を特定し、損害賠償請求をすることも可能です。投稿者との直接交渉や訴訟の対応を弁護士に一任することで、感情的になりがちな当事者間のやり取りを避け、冷静かつ戦略的に進めることができます。

 

発信者情報開示請求については、「【病院・歯医者・クリニック向け】悪質なGoogle口コミの削除・発信者情報開示請求」で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

再発防止策の構築サポート

単に現在の口コミ問題を解決するだけでなく、将来的な同様のトラブルを防ぐための仕組み作りについても、有益なアドバイスを提供できます。例えば、患者様への説明時に使用する同意書のリーガルチェックや、スタッフ向けのコンプライアンス研修の実施、口コミへの適切な返信方法に関するアドバイスなど、法的な視点から医院の体制強化をサポートします。

まとめ

歯科医院にとって口コミは、新規患者の来院や既存患者の信頼に直結する重要な要素です。しかし、中には「不要で高額な詰め物を入れられた」といった悪質な内容が投稿されることもあります。こうした口コミは患者離れやスタッフの士気低下につながり、経営に深刻な影響を及ぼしかねません。一方で、適切な手続きを踏めば削除が認められる場合もあり、再発防止策を講じることで医院の信頼を守ることも可能です。口コミトラブルや風評被害でお困りの方は、初回相談料は無料になっておりますのでお気軽に当事務所までご相談ください。

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