顧問弁護士に依頼するタイミング
「顧問契約はいつ締結すれば良いですか」「どのタイミングで締結しておくべきですか」という質問を受けることがあります。
当事務所は、様々な規模、業種の企業と顧問契約を締結いただいています。顧問契約の年間解約率は約2%となっており、大半のクライアントに、顧問契約を継続いただいています。そういったクライアントの方々の動向を分析し、また、私自身の考えも交えて、顧問契約を締結するタイミングを私なりに整理してみましたので、以下のうち、1つでもピンときた方は、私から直接アドバイスをさせていただきますので、顧問弁護士の依頼を検討してみてください。
検討すべきタイミング
従業員が10名を超えた
家族が増えると、生命保険などの契約を検討するようになる方が多いと思いますが、従業員が増えたときに顧問契約を検討することは、それと同じようなものです。何が起こるか分からない時代に、会社を護るために使える選択肢を増やしておくことに損はないはずです。
取引先と契約書を交わしていない、請求書と見積書だけの運用をしている、ペラ一枚の契約書にサインだけして取引を実行している。
そのやり方で、本当に後から後悔しないですか?分厚い契約書を作る必要まではないかもしれません。ですが、最低限度のことだけでも充たしておきませんか?可能性は無限ですが、時間は有限です。契約トラブルを想定していない、実際に発生した、となると、取引金額の回収ができない事態になる可能性があるうえに、さらに、大切な時間まで無駄にしてしまいます。
売掛金や残業代の時効が何年かわからない、いつから起算するのかわからない。
インターネットで調べれば出てくるかも知れませんが、問題になってから調べて知るのでは遅いことが多いのです。遅くとも、売掛金の支払いが遅延している、残業代が請求される可能性がある、という段階で対応を確認しておける体制を整えておきませんか。
採用面接の時に、聞いて良いことと悪いことがわからない。そもそも採用面接で聞いてはいけないことがあることを知らない。
採用面接の時に聞くとマズイというものは実在します。これも、インターネットで調べれば出てくるかもしれません。ですが、同じような情報を適切な形で収集するにはどうすればいいのか、逆に、採用面接の段階でしておくべきことは何なのか、業種や規模に応じたアドバイスをさせていただきます。
従業員と雇用契約書を締結していない、労働条件通知書を渡していない。
大問題です。インターネットから拾ってきたもので済まそうと考えないでください。条項1つ1つの意味をしっかり理解したうえで、従業員の方を自社に迎え入れましょう。それが、使用者も労働者も結果的に幸せにすることに繋がります。
パートさんとの雇用契約書について、厚生労働省のひな形等をそのまま使っている。
厚生労働省のひな形は、労働者に有利なものマシマシです。それが決して悪いというわけではありません。しかし、企業として想定していない事態に発展することはできるだけ避けたいとは思いませんか?
無期転換について、よく分かっていない。
無期転換権の明示、更新上限回数、更新上限年齢、雇止めなど、無期転換権は本当にややこしい制度である一方、有期雇用契約が欠かせない企業は多いです。一度、使用者側労働事件専門弁護士から、有期雇用契約や無期転換について、レクチャーを受けてみませんか?
同一労働同一賃金について、よく分かっていない。
同一労働かどうか、同一賃金かどうかは、どの従業員とどの従業員を比べて見るの?
どの程度で同じであれば、同一賃金といえるの?
当事務所は、労基署からの同一労働同一賃金に違反していないかの調査対応の実績も豊富です。同一労働同一賃金について、自社に当てはめて、レクチャーを受けてみませんか?
就業規則がない、就業規則はあるけどインターネットから拾ってきたものである、または5年以上改訂していない。
就業規則は、キチンとしていれば、会社を護る選択肢になります。しかしながら、インターネットから拾ってきたものをそのまま使っている、あるいは、社労士さんなどに作ってもらってそのまま5年以上見直していないということでしたら、
従業員から退職の意思が表明された場合に渡す、「退職届受理書」等を用意していない
たった1通、書類を出しておくかおかないかだけで、会社の有利・不利が、大きく変わってきます。
自社に顧問弁護士がいない。
自社の可能性を傷つけさせない、護るための選択肢として、顧問弁護士を検討してみてはいかがでしょうか。
自社に顧問弁護士がいるけど、退職届受理書などの書式について、アドバイスを受けたことがない。
相次ぐ法改正や新しい裁判例など、目まぐるしく変わる労働法の変化に対応するのは弁護士であっても難しくなってきつつあります。一方で、企業において労働法はコンプライアンスの上位項目となっており、顧問弁護士に相談を求めるべき機会が多いものの、どうしても知識や経験に限りがある先生方もいらっしゃるようです。そこで、当事務所は、労務を中心に対応できるセカンド顧問弁護士としての契約も複数承っています。セカンド顧問弁護士契約を締結いただいている企業からは「チャットや携帯電話で相談できるから、相談のハードルが低くていい」「若手社員が先生のところばかりに相談している」といったお声をいただています。
従業員や従業員の家族に幸せになってほしい。
当事務所では、従業員の方からの相談(離婚、相続、借金、お子さんの学校でのトラブル等)も承っています。
弁護士事務所を紹介し、弁護士費用を抑えて相談等を受けさせてあげられ、従業員の悩み事を解決することで、従業員の方が仕事に集中できる状態に戻り、会社(社長)に対する感謝の気持ちが生まれます。
ハラスメント、営業、コミュニケーション等の研修を開催したいが、どこに頼めばいいかわからない。
当事務所の弁護士は、経営者側の労働事件を専門分野とし、経営法曹会議(使用者側労働事件専門弁護士の集まり)にも加入しています。そのため、多くの労働事件を扱っており、労務に関する知識、経験が極めて豊富です。そういった経験を活かして、企業内でハラスメント防止の研修などを多く担当しています。また、労務だけではなく、様々な心理学を学んでおり、それらの資格を活かした、営業やコミュニケーションに関する研修を開催する資格も有しています。
是非、御社の可能性を高めるためにも、これらの研修の利用をご検討ください。
従業員の働きがいを高めたい。
当事務所の弁護士は、経営者側の労働事件を専門分野とし、多くの問題社員対応を手がけてきました。
その中で、単に労働トラブルを防止するには、就業規則や書式の整備だけでなく、日頃から従業員の働きがいを高めておくことがカギになると考えるようになりました。
そこで、当事務所は、「働きがい」を研究分野の1つに掲げており、従業員の働きがいに関する研修やコーチングのサービスも実施しています。
上記をご覧いただければお分かりいただけるかと思いますが、比較的、具体的なトラブルが生じる前段階の時点で顧問契約を締結していただくことが多いです。
なお、実際に債権回収事案や契約トラブル事案が発生した、労基署から連絡が来た、従業員との労働争議が勃発した、という時は、今すぐ顧問弁護士に加えて、個別案件についても、依頼をしなければならない段階です。
せっかく、トラブルになる前に、顧問契約の締結を検討されているなら、トラブルが発生していない今が、顧問契約を締結するチャンスです。
もちろん、具体的なトラブルが発生してから、相談・依頼することがダメとは言わないですし、やむを得ないという場合も多いです。その場合、個別案件の解決を目指しつつ、契約書や雇用契約書など、トラブルが発生した原因について見直し、さらにそのついでに就業規則も改定していきましょう、というように進んでいきます。
もっとも、こういった場合、労働審判の日が既に決められていたり、具体的に従業員やその家族の人と揉めていて近々会うことになっているため、早急に対応してほしい、ということも少なくないと思いますが、顧問契約を締結していないのであれば、事務所に荷電して、事務員を通じて面談の予約を取って、そこから面談して…という形にならざるを得ません。また、弁護士もスケジュール等の関係で、どこまで早急な対応が可能かどうか、不透明です。
顧問契約を締結しているのであれば、弁護士の携帯電話に直接架電し、具体的なアドバイスを聞きつつ、早急に面談の日時を決める、ということも可能になってきます。
このように、顧問契約を締結しておくことによって、トラブルを防止することができ、万が一トラブルになったとしても早急な対応が可能となります。
それだけでなく、前述のように、当事務所は、経営者側の労働事件を専門分野としており、多くの労働事件を扱っている経験を活かして、様々な研修やコーチングのサービスも実施しています。こういったサービスを利用することによって、企業の内部均衡と外部均衡のバランスを取りながら、企業の上手く機能し続けることが出来、組織を長く存続させることにつながります。
特に労務分野絡みで適切な対応や予防策をとるにためは、普段から会社のことをよく知り、ちょっとした相談にも耳を傾けることが大切であると考えています。その際に、「弁護士さんに相談までするほどなのかな」とためらわれてしまうと、弁護士としても会社の状況をお聞きする機会を逸してしまいますので、最終的には良いアドバイスができなくなる可能性があります。そのため、当事務所の顧問契約においては、基本的に相談時間に上限は設けておりません。
また、個別事案を受任した場合も含めて、基本的には顧問契約の方がムダな支出がない設計にしております。
会社に、充分に人事や法務を担える人材を雇用する際に発生する手間と費用を考えれば、当事務所と顧問契約し、アウトソーシングしていただくことが、コストの面からも優れているということができます。